会社法の成立に伴う各種の取扱


 会社法施行に伴い、様々なところで変化があります。

■株式の譲渡制限

現行法では,株式会社に対する規律は一定であるが、株式の譲渡制限を設けた株式会社であっても,定款で株式の譲渡につき取締役会の承認を要すると定めることができました。

 会社法では,株式会社と有限会社を一体化したので,株式会社であっても,株式の譲渡制限を設けている場合は,有限会社と同じような取り決めを選択できるようになりました。

1.株式譲渡の承認機関等の定め

 現行法では,原則として株式の譲渡は自由とされており,例外として,定款で株式の譲 渡につき取締役会の承認を要する旨を定めることができるとされている。

 定款で承認機関を取締役会ではなく株主総会と定めることは可能であった。今回、会社法の下では,非公開会社では取締役会を置かない場合も出てくることにより、譲渡の承認機関 を一律に取締役会と限定することはできななくなりました。

 (限定する目的は、会社にとって好ましくない人物の参入を阻止するのが主眼)

 原則は、株式の譲渡を自由としつつ,例外として,定款でその発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式 会社の承認を要する旨を定めることができ、その承認機 関は,原則として取締役会 ( 取締役会を置いていない会社にあっては株主総会 ) としつつ , 定款で別の定めを置くこともできるとされました。

 そのため,非公開会社においては , 株式の 譲渡による取得を承認する機関について,取締役会 ( 取締役会を置いていない会社にあっては株主総会 ) ではなく他の機関 , 例えば代表取締役とすることも可能となりました。その場合には,定款でその旨を定めなければなりません。

 さらに,株式の譲渡制限を設ける場合には,定款で定めを置くことにより , 一定の場合には承認をしたものとみなすことも可能となった。
  例えば,譲り受ける者がすでに当社の株主である場合あるいは当社の役員・従業員である場合にはその譲渡を承認したものとみなすといった定めを置くことも可能となります。


(1) 現行法では , 株式の譲渡制限 | こ関しては , 株式会社が発行するすべて
の株式を譲渡制限株式とすることを前提としているが唱 ( 現行商法 204 条
l l 頁 ), 会社法では株式の種類ごとに譲渡制限株式とすることが認められた
( 会社法 10B 条 11 頁 4 号 ) 。ただ し , 本稿では , 全株式に譲渡制限を
設 17 る場合を前提として説明している。

株主ごとの異なる取扱いの定め

 株主平等原則というのがあり、現行法では,株式会社については,株主はその権利・義務に関し持株数に応じて比例平等的に取り扱われなければならないとされていました。

 株式の権利内容を差別化や法定の少数株主権等以外に持株数に比例せずに株主の 権利を差別化することは許されなかったのです。

 有限会社では、社員の異動が少なく相互の信頼関係 が緊密であることを前提としていたため、比較的自由であり,株主平等原則に対応する原則は存在していませんでした。定款により出資口数に比例 L ない属人的な観点、からの権利等の定めを置くことも許容されいました。

 会社法では,株主平等原則を前提としつつも株式会社と有限会社を一体化したことに伴い, 定款で定めることにより

@剰余金の配 当を受ける権利
A残余財産の分配を受ける権利
B株主総会における議決権について,株主ごとに異なる取扱いを行うことが可


■譲渡を承認しなかった場合の先買権者の指定

 非公開会社は,株主からの譲渡承認請求を承認しない場合には別の譲渡相手方を指定・通知しなければならないとされておいましたが、その譲渡相手方として会社自身を指定することもできるとされていました。
 これに対し,会社法では,非公開会社に対し,定款で定めることにより,株主からの譲渡承認請求を承認しない場合の先買権者をあ らかじめ指定しておくことが認められました。したがって,非公開会社においては , 株主 からの譲渡承認請求がされた場合の買取人を,あらかじめ定款で定めておくことにより指定しておく旨を定めておくことができるようになりました。


■相続・合併等の場合における売渡請求

 現行法は,相続・合併などの一般承継に よる株式の移転は,取締役会の承認によって制限できる「譲渡」には含まれないと解されています。そのため, 定款で譲渡制限を設けていたと しても , 相続・合併などの方法で好ましからざる株主が入ってくることを防止することができないという不都合がありました。

 会社法では,相続その他の一般承継により株式を取得した者が株主となることを当該会社が望まない場合には,定款で定めることにより,会社が一般承継により株式を取得した者に対してその売渡しを請求するこ とができることとしました。

 この売渡請求をするためには,株主総会で,取得する株式の数および当該株式を有する株主の氏名・名称を決議する必要があります。
 行使できる期限は、会社が当該一般承継を知った日から1年以内に請求しなければならないとされています。
す。


■公告方法

  公告の方法は、従来と異なって絶対的記載事項ではなくなりました。定款上に定めを置かない場合は官報に掲載する方法によることとなる。(会社法 939条481) 。

 従来どおりの表現のままでも問題が生じるわけではなく、公告方法は登記事項であるが,公告方法を変更しない場合には,みなし規定により手続は不要です。



    

                     



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