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損害賠償金と税金

■損害賠償金の税金について

 《注意》このページは、すべて国税庁のタックスアンサーからの引用と法律の転記により構成されていますので、ご了解の上、参考にしてください。

 ■国税庁タックスアンサー■

★遺族が損害賠償金を受け取ったとき [平成17年4月1日現在法令等]

 交通事故などの加害者から、遺族が受け取った被害者の死亡に対する損害賠償金などについては所得税はかかりません。相続税もかかりません。
 損害賠償金には、慰謝料や逸失利益の補償金などがあります。逸失利益の補償金とは、もしその人が生きていれば得ることができる所得の補償金のことです。
 所得税法では、心身に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金は非課税とされています。
 ただし、事業用資産の損害に対する損害賠償金などについては、その支払われる原因により被害者のその年の死亡の時点までの所得計算に含める必要があるのがあります。

(所法9、所令30、94)

【 所得税法】

(非課税所得)
第九条  次に掲げる所得については、所得税を課さない。
十六  損害保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの
【所得税法施行令】
(非課税とされる保険金、損害賠償金等)
第三十条  法第九条第一項第十六号 (非課税所得)に規定する政令で定める保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)は、次に掲げるものその他これらに類するもの(これらのものの額のうちに同号 の損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、当該金額を控除した金額に相当する部分)とする。
一  損害保険契約に基づく保険金及び生命保険契約に基づく給付金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかつたことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む。)
二  損害保険契約に基づく保険金及び当該契約に準ずる共済に係る契約に基づく共済金(前号に該当するもの及び第百八十四条第四項(満期返戻金等の意義)に規定する満期返戻金等その他これに類するものを除く。)で資産の損害に基因して支払を受けるもの並びに不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金(これらのうち第九十四条(事業所得の収入金額とされる保険金等)の規定に該当するものを除く。)
三  心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(第九十四条の規定に該当するものその他役務の対価たる性質を有するものを除く。)

★ 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金を受け取ったとき

[平成17年4月1日現在法令等]
交通事故などのために、被害者が次のような治療費、慰謝料、損害賠償金などを受け取ったときは非課税となります。
1 心身に加えられた損害について支払を受ける慰謝料など
具体的には、事故による負傷について受ける治療費や慰謝料、それに負傷して働けないことによる収益の補償をする損害賠償金などです。 ただし、治療費として受け取った金額は、医療費を補てんする金額になります。したがって、医療費控除を受ける場合は、支払った医療費の金額から差し引くことになります。 しかし、その医療費を補てんし、なお余りがあっても他の医療費から差し引く必要はありません。
2 不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害について受ける損害賠償金
具体的には、車両の破損に対する損害賠償金などです。 しかし、事故にあった資産が事業用の資産の場合は取り扱いが違ってきます。 例えば、次のようなケースです。 一つは、車両が事業用であって、事故により廃車とするケースです。車両について資産損失の金額を計算する場合は、損失額から損害賠償金などによって補てんされる部分を差し引いて計算してください。 もう一つは、商品の配送中の事故で使いものにならなくなった商品について損害賠償金などを受け取ったケースです。 この損害賠償金などは収入金額に代わる性質を持つものですので非課税とはなりません。
3 心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける見舞金
ただし、収入金額に代わる性質を持つものや役務の対価となる性質を持つものは除かれます。 なお、非課税となる見舞金は、社会通念上それにふさわしい金額のものに限られます。

(所法9、51、73、所令30、94、所基通9−23)

【所得税法】

(資産損失の必要経費算入)
第五十一条  居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
2  居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
3  災害又は盗難若しくは横領により居住者の有する山林について生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
4  居住者の不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(山林及び第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産を除く。)の損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額、資産の譲渡により又はこれに関連して生じたもの及び第一項若しくは第二項又は第七十二条第一項(雑損控除)に規定するものを除く。)は、それぞれ、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額(この項の規定を適用しないで計算したこれらの所得の金額とする。)を限度として、当該年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
5  第一項及び前二項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。

(医療費控除)
第七十三条  居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において、その年中に支払つた当該医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)の合計額がその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(当該金額が十万円を超える場合には、十万円)を超えるときは、その超える部分の金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
2  前項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。
3  第一項の規定による控除は、医療費控除という。

★加害者として損害賠償金を支払ったとき
[平成17年4月1日現在法令等]

 事業主が交通事故などを起こし、損害賠償金を支払ったときの取扱いについて説明します。
 この場合の損害賠償金には、慰謝料、示談金、見舞金等の他人に与えた損害を補てんするために支払う一切の金額が含まれます。
 この損害賠償金が事業上の必要経費となるかどうかは、業務関連性と故意又は重大な過失があったかどうかにより判定します。
 まず、業務に関連のないものは必要経費になりません。
 具体的には、家事上の経費や家事関連費となる損害賠償金です。
 次に、業務に関連してはいるが、故意又は重大な過失によるものは必要経費になりません。
 重大な過失とは、加害者の職業、地位、事故当時の周囲の状況、侵害した権利の内容及び取締法規の有無などの具体的事情を考慮して、本来払うべきであった注意を払ったかどうかにより判定します。
 例えば、交通事故の場合ですと、無免許運転、高速度運転、酔っ払い運転、信号無視などによる事故は、特別の事情がない限り重大な過失があったとされます。
 したがって、加害者として支払った損害賠償金が事業上の必要経費となるのは、商品の配送中や売掛金などの集金途中など業務に関連した事故で、しかも故意又は重大な過失がない場合です。

(所法45、所令98の2、所基通45−7〜8)

【所得税法】

(家事関連費等の必要経費不算入等)
第四十五条  居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
六  罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はこれに準ずる者として政令で定めるものが課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
七  損害賠償金(これに類するものを含む。)で政令で定めるもの

【所得税法施行令】

(必要経費に算入されない損害賠償金の範囲)
第九十八条の二  法第四十五条第一項第七号 (必要経費とされない損害賠償金)に規定する政令で定める損害賠償金(これに類するものを含む。)は、同項第一号 に掲げる経費に該当する損害賠償金(これに類するものを含む。以下この条において同じ。)のほか、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に関連して、故意又は重大な過失によつて他人の権利を侵害したことにより支払う損害賠償金とする。


                                  

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