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道内NPO法人、700件超す ずさんな運営も 道、取り消しも視野  2004/12/30 07:58

 福祉や文化、環境、地域活性化など幅広い分野に進出している特定非営利活動法人(NPO法人)の道内での認証数が今年、七百を超えた。ここ数年は毎年百法人以上が認証を受け急増しているが、半面ずさんな経理が発覚するなど運営の透明性も問われている。

 特定非営利活動促進法(NPO法)は一九九八年十二月に施行され、九九年二月、「ふらの演劇工房」(富良野市)が全国第一号の認証を受けた。道によると、十一月末現在の認証数は全国で一万七千八百四十、道内は七百三十七に上り、都道府県別で東京、大阪、神奈川、千葉に次ぐ五位となっている。

 活動内容も、雪のエネルギー利用を研究する「利雪技術協会」(札幌市)や霧多布湿原の自然保護を目指す「霧多布湿原トラスト」(釧路管内浜中町)など多彩だ。得意分野で機動力を生かせる特性が社会的にも認知され、行政と協力してイベントを行うケースも増えてきた。

 一方、今年十一月には、道内の約百のグループホームで構成するNPO法人「北海道痴呆性高齢者グループホーム協議会」(札幌市)で総額約三百六十万円の使途不明金が発覚し、不明朗な経理実態が明らかになった。

 道によると、年一回の提出が義務付けられている「事業報告書」を提出していないNPO法人も、現在四十六法人あるなど、ずさんな運営も目立っている。道生活振興課は「NPO法人には行政の関与を少なくというのが基本スタンスだが、ルールが守られなければ、厳しく責任を問わざるを得ない」とし、認証取り消しも視野に入れて対応していく方針だ。

 道NPOバンクの理事を務める河西邦人・札幌学院大助教授は「道内のNPO法人は、公益性が高く収益性の低い事業での活躍が期待され、さらに増えるだろう。今後は財政基盤の強化や人材の確保、経営ノウハウの蓄積が課題となる」と指摘している。