車が社会一般的な乗り物となるにつれて、自動車事故が増え損害賠償の問題が社会問題となってきて、昭和30年に自動車損害賠償保障法が施行されました。
行政書士は、自賠責保険の請求などを当初から手がけてきました。長年、交通事故を取り扱ってきた人の話では、最初は相当苦労しながら請求事務をやってきたようです。そのような先輩のおかげで今日があります。
行政書士がどのような法律の根拠で交通事故業務を扱っているのかをご説明いたします。
最初に行政書士法(抜粋)を見てみましょう。
第1条の2 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
第1条の3 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
1.前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続について代理すること。
2.前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
3.前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
以上でお分かりのように行政書士は、依頼者の権利義務又は事実証明に関する書類を代理人として作成すること。そして、その作成に関しての相談に応ずることができるのです。
交通事故は、被害者にとって、その損害を賠償してもらうことは、民法にも定められている「権利」です。
民法709条
「故意または過失に因りて他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」とあります。
ただし、行政書士が扱うことができる範囲には限界があります。
争訟性のある事件を扱うことはできません。弁護士法72条では弁護士以外の者が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱ってはならない旨の規定があるため、示談交渉は弁護士以外はできません。
従って、行政書士は被害者の代理人となって、加害者又はその代理人である損保会社との直接の示談
交渉はできません。しかし、被害者の意を汲みながら、被害者の代理人として、書類を通じて被害者
の権利を主張するお手伝いができるのです。
行政書士の一般的な交通事故業務への取組姿勢は、
1.自賠責保険への被害者請求
2.任意保険会社(損保)への書類による損害賠償請求
3.示談書の作成、事故関係図の作成
以上のものに限定して行っており、任意保険に対する損害賠償請求では、どうしても合意が得られない場合は、被害者が直接「交通事故紛争処理センター」等の第三者機関への斡旋の依頼をしてもらったり、弁護士を紹介するなどしています。
弁護士法72条では弁護士以外の者が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱ってはならない旨の規定があるため、示談交渉は弁護士以外はできないことになっています。
例外として、加害者が「示談代行サービス付の自動車保険」に加入している場合は、保険会社が加害者の代理人として示談交渉を行うことが出来るだけです。
一般の人はもちろんのこと、保険代理店も、一切示談交渉はできません。しかし、報酬を得る目的でなければ(無償で)ならば構わないことになっています。
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