交通事故・損害賠償請求 自賠責保険請求、任意保険請求、賠償額算定 | ||||
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後遺障害の損害賠償の内容 |
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■後遺障害の認定 交通事故が起きてケガ(傷害)をすれば、完治させるため病院で治療をします。自然治癒で済む場合もあります。事故当初は、自然に治ると考えていたのが、何日かして頚椎捻挫が酷くなり病院に駆け込むこともあるでしょう。交通事故には実に様々なケガが伴うものです。 ケガの中でも、完治しないものもあります。神経系統を痛めてしまい、体のある部分が麻痺してしまうこともあります。あるいは、体のある部分を失ってしまうこともあります。 後遺障害とは、ある期間治癒に専念しても完全に元に戻らない状態をいいます。後遺障害の認定は、症状固定(これ以上治療しても回復しない状態)を待たなければいけません。一般には半年(6ヶ月)を経過しないと認められません。認めてもらうためには、後遺障害診断書をお医者さんに書いてもらわなければなりません。どのように書いてもらうか、一番重要なところともなります。 書き方一つで、認定されたり、されなかったりするからです。身体の一部の欠損は、その時点で症状固定となりますが、知的障害や機能障害、あるいはキズ(醜状痕)の場合は、医者の判断で決まり、自賠責ではほとんどが書類審査ですので、後遺障害診断書はできるだけ具体的に記入してもらうことが大切になります。 三菱トラック事故で、遺族が娘を返してくれ、と泣き叫ぶ姿が何度も報道されました。でも、失われたものは戻ってきません。無常なものですね。後遺障害も、いくら治療を継続しても、失った体の機能や失った体の部分が戻ってこない場合をいいます。 後遺障害は実に細かく分類されています。自賠責では現在14級の等級に分かれ、138種類に分類されています。1級が一番重く、もっとも軽いのが14級です。また、1、2級の場合はさらに介護を必要とする場合を重度後遺障害として賠償額が高くなります。 以下は『損害保険料率算出機構』のHPから |
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■Jiko相談室
■Jiko相談室
■後遺障害の認定の問題点 後遺障害の認定は、症状固定(これ以上治療しても快復しない状態)を待たなければいけません。一般には半年(6ヶ月)を経過しないと認められません。認めてもらうためには、後遺障害診断書をお医者さんに書いてもらわなければなりません。どのように書いてもらうか、一番重要なところです。 書き方一つで、認定されたり、されなかったりするからです。どうみても、後遺障害が認定されてしかるべきなのに、されないのは、ほとんどが診断書の書き方に問題があります。明確に患部を主張して書いてもらうべきです。例えば、醜状痕(傷あと)がある場合、長さや大きさまで正確に書いてもらわない といけません。 交通事故の後遺障害の認定は、一番問題の大きいところでもあるのです。現行の喪失率表は、労災保険の給付額から逆算を行なったものに過ぎなかったり、肉体労働を念頭に置いたもので現在の状況に適合していない、あるいは等級が大雑把で、その中間領域が切り捨てられているなど、様々な批判がありますが、いまだまったく改善されないままなのです。 そうではありながらも、自賠責における後遺障害の認定は、任意保険や裁判における後遺障害等級の認定も、この自賠責の認定が損害額算定の基礎となっているのです。 この点を充分に理解して対応してください。保険会社の一括払い処理がなされている場合で、被害者が保険会社に対して、担当の医者に患者の様子を聴いたり、診断書を要求することに対する同意書を提出していると、任意保険会社はそれを根拠に治療に介在してきます。 診断書を取寄せ、レセプトを取寄せ、入院している必要はない、早く退院せよ、とかもうこれ以上治療費は支払わない、などと関与してくることもあります。 最近この件で、北海道新聞に一面で報道されました。同意書がなくても医師が勝手に個人の診断状況を、損保に流していたという大変な問題です。 後遺障害の認定がなされれば、損害賠償額が大きくなります。後遺障害に至るようなケガをしたなら、それに応じて損害賠償を金銭でしてもらわなければなりません。心情としては、失ったものを返してくれといいたいところですが、法律で金銭賠償が原則となっています。そのためには、後遺障害認定を自賠責で行なうこと、認定を受けるためには細心の注意が必要であること(どういう障害が認定されるのかという認定基準の知識をもつこと)が重要になります。 ■Jiko相談室 ■後遺障害の等級 自賠責の後遺障害等級認定は、のちのち裁判となるようなケースでも認定があることの方が、被害者に有利に作用します。 後遺障害の等級は1級から14級までになっています。1級から3級は労働能力をほぼ100%失ったような重い障害を負った場合で、介護が必要なケースとそうでないケースで賠償額が異なります。 後遺障害は大きくは14等級に分かれていますが、それぞれの等級の中でさらに部位別に細かく分類されています。自分はどこに該当するのか、本来は後遺障害として認定されるべきが、知らないがためにそのまま認定されずに終わる場合も多いので注意が必要です。 女性と男性では、同じキズでも等級が違う場合もあります。外貌に醜状を残すものとして、男性は14級に対して、女性は12級となります。 またよく見落とし勝ちになる後遺障害として、第12級(5)鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨又は骨盤骨に著しい奇形を残すもの、があります。この中には頭が含まれていません。だから、認定されないのだ、と思い込まないで下さい。自賠法施行令別表2の備考6に「各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、各等級の後遺障害に該当するものは、当該等級の後遺障害とする」と規程されています。 例えば、頭蓋骨骨折で入院し、何針も縫うケガをして、運良く全快した場合、頭髪が伸びて醜状痕は見えません。それだけで、後遺障害なしとしてしまうことが多いのです。実は、頭蓋骨を手で触れると平たく変形しているようなケースでは、著しい奇形を残すものとして12級に該当するのです。 ここでさらに問題が発生します。主治医にこの点を、診断書に明確に記入してもらわなければなりません。医師は一度出した診断書の書き換えに応じてくれないことがあります。そのような場合は、粘り強く説得して書き換えてもらわなければ認定されません。 先に紹介した、後遺障害の一覧表にないからといってあきらめてはいけません。実は、これが非常に多いのです。このことを知らない人に相談をして、残念ながら後遺障害には該当しないね、といわれてあきらめてしまい、本来賠償されるべきものがもらえなくなるのです。 ■後遺障害の場合の逸失利益 後遺障害の保険の額は、後遺障害等級認定で決まります。認定を左右するのは、診断書にどのように書かれるかに因ります。何回も強調します障害は残っているけれども、そのことが診断書に書かれていないのでは認められません。 ご自分の判断で、後遺障害等級表のどこにも該当しないと、勝手に判断してしまわないことも大切なポイントです。さらに、自分の症状を具体的に記入してもらうことも必要ですから、症状を明確に説明しなければいけません。“多少の痛みは我慢して、人に言わないのが真の男”なんて考えてはいけないのです。 後遺障害等級は14級に区分されていますが、等級に応じて、労働してお金を稼ぎ出す力を失うとみなします。これを労働能力喪失率といいます。傷害(ケガ)の場合は、治癒することが前提ですので、損害賠償は治療に当たっていた間の休業損害と慰謝料となりますが、後遺障害を負った場合は、将来に渡って労働する能力が失われるのですから、それを「逸失利益」と呼びます。 自賠責は後遺障害の場合、「逸失利益」と「慰謝料」の合計額で等級別に限度額が決められています。 逸失利益の計算は、収入の額から先ほどの労働能力喪失率の分を将来に渡り失ったものとみなします。 計算式で示すと 逸失利益=収入額×労働能力喪失率×後遺障害確定時の年齢に対するライプニッツ係数 となります。 ライプニッツ係数というのは、要するに将来に渡って失うものを、現時点でもらうのだから、年利5%の利息を差引いて渡すようにするための係数です。 ファイナンシャル・プランナーの方には将来の額から現在の額を求める「現価係数」と同様のものといったほうが分かりやすいと思います。 労働能力喪失率は、1級から3級までは100%です。まったく労働する能力を失った状態とみなします。一番低い14級で5%です。 前にもお話したように、これらは労災保険の給付額から逆算を行なったものです。いろいろな批判や矛盾がありながらも現行はこのシステムによっているのです。 ここで一番問題となるのは、収入の額です。自賠責では基準がある程度明確になっていますが、自賠責保険以外の損害賠償額の算定では、原則として実収入の額となります。 裁判上では、実収入が年齢別学歴別平均収入より低い場合はある程度引き上げられる等のことがなされたりします。問題は自営業者の場合です。 ここでの説明は自賠責を前提としていますが、自賠責の収入の算定方法は通常の損害賠償の算定では、原則として採用されない、ということを確認しておいて下さい。 ■後遺障害の逸失利益の計算を通じての説明 自賠責における実際の計算方法についての事例 男子17歳学生、障害等級12級の場合の逸失利益の計算 (A) (年額)(B) (C) 187,400円×12ヶ月×17.304×0.14=5,447,853円→545万円 (A)収入根拠=18歳の平均月額給与額 (B)障害確定時の年齢に対するライプニッツ係数=17.304 (C)労働能力喪失率(12級)=0.14 収入の捉え方は、年齢別に様々な取り決めがあります。ここで様々な疑問を抱いたと思います。上記の算式とその下の説明だけでは、何のことか理解できないと思います。 まず、収入額の決定として187,400円とありますが、これは平成12年賃金センサスの年齢別平均給与額の18歳から導かれています。働く意思と能力を有する無職者で被扶養者がいない者、幼児、学生は男女別18歳の平均給与額を算定の基礎とするという取り決めになっているのです。 ちなみに18歳女子の場合は169,600円です。 以上のように、18歳未満、18歳以上、35歳を境にした基準、有職、無職、主婦、失業中の働く意思のある人、などなどきめ細かな取決めに従って決められます。 原則は、事故前1ヵ年の現実収入がベースですが、もしも事故前1ヵ年の収入の証明が困難な35歳以上の人は、年齢別平均給与額の年相当額を基礎に計算します。 あるいは、35歳未満の人で、事故前1ヵ年の収入を証明することができる人は (1)事故前1ヵ年の収入額 (2)全年齢平均給与額(男子415,400円、女子275,100円)×12月 (3)年齢別平均給与額×12月 自賠責では、被害者に有利なようにいづれか高いほうを採用します。 先の例に戻ると、187,400円×12月×稼動年数49年=約1億1千万円となります。 これに単純に労働能力喪失率0.14を掛けると「1540万円」となります。 稼動年数49年というのは、18歳未満の者の就労可能年数は、67歳まで働けると見て、67−18=49 となるのです。 ※注意 ここでは稼動年数を単純に計算していますが、現実には障害の程度に応じて年数は決められます。今回の例は、死亡や重度後遺障害の場合だと理解してください。中間利息が控除されなければ、1540万円になるところが、これを現時点でもらうのですから、年齢が17歳、就労可能年数が49年に対応したライプニッツ係数17.304を掛けて545万円となるのです。 中間利息の控除がいかに大きいかお分かりいただけたでしょうか?この低金利の時代でも5%で控除されてしまうのです。金利につていは、裁判での争いもおきています。 ここまで説明してきて、逸失利益の計算がおおよそ理解していただけたと思います。症状固定(後遺障害の確定)して、その後の就労可能年数を最終67歳とみて計算しますので、収入額の決定が非常に重要であることもお分かりいただけたでしょうか。 ただし、自賠責には支払限度額がありますので、せっかく計算しても等級ごとの限度額までしかお金はでません。 しかし、任意保険での損害賠償額という点では、収入の算定の仕方が実収入によりますが、それ以外の計算の仕方は同様と考えてください。 |
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