1.葬儀費
60万円となっています。この60万円を超える場合は、最高100万円まで支払われることになっていますが、それには社会的通念上必要な範囲であり、しかも必要な支出であることが証明されなければいけません。
2.慰謝料
被害者本人の慰謝料が350万円で、遺族の慰謝料は遺族の人数により異なります。
自賠責に遺族慰謝料を請求できる人は、民法に規定されている法定相続人と同じです。(父母、配偶者、子)
一般の相続の場合は、配偶者にはすべての権利がありますが、子がいれば被害者の父母には相続権は発生しません。自賠責では被害者の父母や養父母にも遺族慰謝料の請求権があります。
3.逸失利益
小さなケガでも、休業損害は問題になるのですが、死亡や高度の後遺障害の場合は、遺族や介護をしなければならない家族にとって、非常に問題が大きいものです。
死亡の場合は休業損害とは言いません。逸失利益といいます。仕事には復帰できないからです。
■計算事例
給与所得者ですと、現実にもらっていた給与がベースとなります。昇給も考慮されなければなりません。これらは会社全体の過去の実績がなければなりません。退職金も定年までいたと仮定して計算されます。計算事例を示してみます。
37歳の男子会社員、年収700万円、子供3人と仮定
(A) (B) (C)
前年所得 生活費控除率 30年のライプニッツ係数
●逸失利益=700万円×0.65(1-0.35)×15.3724=6,994万4420円
(A)生活費控除率;これは本人が生存していれば当然、食事をしたり生活費がかかります。その人の環境によって異なりますので一家の支柱ですと30%〜40%、単身者は50%となります。
(B)稼動可能年数;交通事故の損害賠償では67歳とされますので、67−37=30年間 となります。
(C)中間利息控除;
別名、ライプニッツ係数と呼ばれます。どういう意味なのかを説明します。逸失利益としてまだ到来しない将来の分を、現時点で賠償額としてもらうのですから、利息分は控除します、ということです。住宅ローンの逆だと考えてください。住宅ローンは今1千万円借りたら、金利によっては30年で倍の2000万円を返すことになりますね。それと逆に、将来に渡って金利を含め、2,000万円を今貰うのですから、1,000万円ということになるのです。金利はこの低金利の時代でも5%ということで計算されます。
ライプニッツは複利ですが、単利のホフマン方式というの
で関西はやっていた時期もあるようです。
退職金についても同じような計算でなされます。
亡くなった時点で、計算された退職金が270万円とします。定年時にもらえるであろう分を計算すると2,000万円とすると
2,000万円×0.4057(60歳−37歳=23年のライプニッツ係数)=811万円
811万円−270万円=541万円
逸失利益は合計約7,535万円となります。
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