交通事故・損害賠償請求  自賠責保険請求、任意保険請求、賠償額算定

          
交通事故・損害賠償の心構え

 私たちは一般的に、あいつは約束を守るいい奴だ、と言ったり、誠意があるからちょっとしたミスは許してあげる、とか、あいつはどうも虫が好かん奴だetc、、、と感情の動物です。
 どんなに相手を客観的に分析して、まったく問題がないとしても、だから結婚相手として問題はない、ということにはならないのと同様に、すべてに感情が優先する人生を送っています。

 交通事故にも感情はつきものですが、損害賠償を話し合う上で感情ほどやっかいなものはありません。感情とは主観的なものです。

 俺は、こういう運転をしていたから過失はない、相手は、事故直後にこれこれしかじかと言っていたから・・・いまさら過失割合を持ち出されるのは納得がいかない。交通事故の損害賠償の段階で感情が先に出て争いになるケースは非常に多いものです。

 これでは、問題は解決しません。以下に問題に取組む心構えを記しますので参考にして下さい。




■法律に基づいた解決

 「法の土俵」という言葉を聞いたことがおありでしょうか?同じ土俵の上で勝負しよう、とかは良く聞く言葉ですね。「法の土俵」という場合も同様に、感情という主観的な価値観では解決がつかないので、法律という土俵の上で話し合いましょう、ということです。

 交通事故の損害賠償の問題は、感情や自分勝手な主観(自分の尺度)で話し合って解決するものではありません。すべて法律の問題であると捉えなければならないのです。被害者によっては、事故から長い間、自分の価値観や感情を優先していつまで経っても解決しない場合があります。

 損害保険会社は加害者の法的な賠償の範囲はどこまでなのか、ということだけを問題にします。これらを捉えて、冷たいとか誠意がないと言う場合がありますが、それらは「法の土俵」の外の問題なのです。

 言葉を変えれば、保険会社に愛想を期待しても始まりません。冷静に事故を判断して正当な損害賠償を提示してくれればそれでいいのです。

 交通事故を解決する場合の根拠となる法律は、
@民法
A自動車損害賠償補償法
B道路交通法

                               これらの法律に基づきます。


■判例

 交通事故の態様は実に様々です。法律の解釈だけでは解決できないことがたくさんあります。

 そこで、裁判所が様々な事故で下した裁判所の判断の実例である判例がものをいいます。昔から判例だけでなりたっているイギリスのような国もありますが、日本でも最高裁のだした判例は重みがあります。下級裁判所は当然ながら最高裁がだした判例に拘束されます。

 最高裁が一度出した判例も不変ということはありません。しかし、変更するときは小法廷ではなく大法廷でやるようになっている、とのことです。最高裁の判決は一種法律のようなものです。
 以上の観点から考察しますと、最高裁の判例を常に参考にして問題解決に取組む姿勢が重要です。

 
過失割合の問題

 殺意を持って交通事故を起こす例が全くない訳ではありませんが、極まれです。お互いに事故は起こしたくないが、どちらかの不注意が元で交通事故は起きます。
 前面の信号が赤で停止中に追突される場合のように、明らかに加害者が100%過失があるケースもありますが、事故の多くは車が動いている最中に発生します。この場合は被害者といえども全く過失がないと認められることは殆どない、と考えてください。

・過失割合と具体的にどのように決めるのか
 過去からの莫大な数の交通判例に基づき、事故のケースごとに弁護士会等が過失の基本割合をまとめた書物を発行しています。
 この基本割合をベースに、修正割合を加減して決めることになります。“自分は絶対悪くない”といくら強く主張しても、調停や裁判では通じません。



■加害者の誠意


 よく、「加害者に誠意がない」と怒りをあらわにしている方がおりますが、【加害者の誠意】ということを冷静に考えて見ましょう。

 起きてしまった事故は元には戻せません。無責の被害者が、加害者にどのような形で謝罪を受けてもその後の被害者の生活を保障するものではありません。金銭的な賠償が全てなのです。
 加害者に誠意がない、というのは、その際たるものは、任意保険に入っていないことです。車を運転する資格もない誠意のかけらもない、といってよいでしょう。
 本当に誠意のある人は、損害保険を選択する段階で誠意の度合いが決まるのです。被害者への損害賠償の評判を聞き、もし自分が問題を起こした場合、きちんと被害者が満足するような対応をしてくれるかどうかまで確認している人が誠意があるというものです。
 (損保会社がにより雲泥の差があるのです)

 また、最近の保険は殆どが示談代行付きです。最初から加害者の代理人として行動しますので、そこに加害者の誠意を求めてもしょうがない、という側面もあります。


■損害賠償額の基準

 厄介なことに、交通事故の損害賠償額の基準となるものは複数存在します。

@自賠責保険基準
A任意保険基準
B裁判所基準
C弁護士基準

 どの基準でいくか、勝手に決めることはできません。事故の態様やどの程度の賠償が妥当なのか、総合的な判断のもとで判断して交渉しなければなりません。

 すくなくとも、基本となる自賠責基準を理解していなければ、交通事故の損害賠償について正当且妥当な損害賠償を計算することはできません。



■専門家への相談

 できるだけ早い段階で専門家へ相談されることをお勧めします。よく、無料相談だけで済まそうとするする方がいますが、無料で、自分にとって大切なものを得ようとすることほど世の中甘くはありません。

 交通事故は、事故に遭遇してから学び取ることができるほど簡単なものではありません。
 早めの有料相談、ご依頼をお待ちしています。

                                            


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