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上肢の後遺障害認定基準

※H16年6月の基準改正に沿って説明
■障害の種類
1.欠損障害:「失う」と表現されているもの
2.機能障害:「用廃」「全廃」又は「機能障害」と表現されているもの
3.変形障害:「偽関節、、、」と表現されているもの

上肢の障害
障害の部位 障害の程度 等級
上肢の障害
両上肢を肘関節以上で失う
両上肢を手関節以上で失う
1上肢を肘関節以上で失う
1上肢を手関節以上で失う
1上肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残す
1上肢に偽関節を残す
両上肢の用を全廃
1上肢の用を全廃
1上肢の3大関節中の2関節の用廃
1上肢の3大関節中の1関節の用廃
1上肢の3大関節中の1関節の著しい機能障害
1上肢の3大関節中の1関節の機能障害
1 の3
2 の3
4 の4
5 の4
7 の9
8 の8
1 の4
5 の6
6 の6
8 の6
10 の10
12 の6

 左図は、上肢の骨格及び関節を図示したものですが、機能障害の認定基準を測定するには、原則として「他動運動」による、とされています。
 「自動運動」が用いられるのは、神経の麻痺や激しい疼痛などがあって、他動では測定が出来ない場合に用いられます。

・患側:障害の残存した側
・健側:障害のない側

 認定の元になる制限値を測定するには、健側の可動域に対して、患側の動きがどの程度制限されているか、例えば(2分の1以下)、(4分の3以下)と評価されます。

 可動域制限の測定と評価方法につては、日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会の両学会による「関節可動域表示並びに測定法」によることとされています。

■自賠責の認定基準
 事故を原因とする、器質的損傷があることが認定の条件となりますので注意が必要です。
■機能障害等の認定基準
5級 一上肢全廃 ・上肢の3大関節のすべてが強直し、
 かつ、手指の全部の用を廃したもの
・上腕神経叢の完全麻痺
8級 1関節の用廃 強直/完全弛緩性麻痺
かそれに近いもの
置換術で可動域
1/2を超える
10級 1関節の著しい
機能障害
可動域1/2以下 置換術で可動域
1/2を超える
10級 著しい機能障害 常に硬性補装具を必要とする 著しい機能障害に
準じる
12級 1関節の機能障害 可動域3/4以下
12級 1関節の機能障害 時々硬性補装具を必要
とするもの
(単なる)機能障害に
準じる
12級 1関節の機能障害 習慣性脱臼 (単なる)機能障害に
準じる

 自賠責保険による後遺障害の認定基準は、先にも述べたように、可動域の制限だけで認定されません。

■関節部分の骨折等に後の、癒合不良や関節の周辺組織の変性による関節拘縮あるいは神経の損傷などの器質的損傷が、レントゲンやMRIなどで客観的に、認められるものがなければ認定にはいたりません。

 もし上記の他覚的な医学的証明がない場合は、12級13号又は14級9号の「局部に神経症状を残すもの」としての認定がなされることになります。

 機能障害の認定は、原則として外的な力で動かす他動運動による測定値でなされます。場合によっては、自動(自分の力で動かすことのできる可動域)の測定値を使用することもありますが、障害の程度に応じて適切な測定値が用いられることになります。

■動揺関節
 等級表には該当する項目はありませんが、以下のように定められています。
10級 常に硬性補装具を必要とするもの 8級(「用を廃したもの」)に準じる
12級 時々硬性補装具を必要とするもの 12級(「(単なる)機能障害」)に準じる
12級 習慣性脱臼 12級(「(単なる)機能障害」)に準じる

※動揺関節とは、関節の安定性機能が損なわれたため、関節の可動性が、参考可動域以上に大きくなったり、あるいは異常な方向に運動するようになったものを言います。

                                         



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