自賠責保険と任意保険の概略
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自賠責保険と任意保険の概略について説明します。詳しくは、自賠責保険の詳細をご覧下さい。
保険請求 自賠責保険
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☆ 制度の原則 損害保険制度のため、賠償義務者(加害者)が支払をした後、加害者請求によりその損害の填補を受けるものとなっています。(自賠法15条)
★被害者保護の制度として、16条被害者請求制度、17条仮渡金制度、内払制度があります。
☆自賠責が使用できないケースとして、ひき逃げ、無保険、泥棒運転等がありますが、政府の保証事業により救済される道があります。(71条政府が被害者に、自賠責に準じた給付を行うもの)
・自賠責保険は一般の損害保険と比較して適用の要件が緩やかになっています。 ○保険の適用可 ×不可 |
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一般の損害保険
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自賠責保険
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加害者の→
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悪意(故意) (未必の故意含む)
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重大な過失
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悪意
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重大な過失 (未必の故意を含む
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加害者
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×
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×
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×
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○
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被害者
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×
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×
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○※
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○
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「未必の故意」=人が傷ついたり死んだりしてもかまわない、とする内心の意思。
※被害者は保険会社に被害者請求手続→保険会社支払→政府の保障事業へ填補を求めるということになります。
■自賠責保険請求の手続
・加害者請求(自賠法15条)
加害者→損害賠償の支払→保険金の支払請求→保険会社→自算会(調査事務所)→支払
・被害者請求(自賠法16条)
被害者からの直接請求権として、加害者に誠意、資力ない場合の保護として制度化されています。
本来は加害者の被害者にたいする損害賠償の請求が主旨であるため、両請求が競合した場合は加害者請求が優先されます。そのため、調査会社は、保険会社が被害者請求に対して支払をなすには、加害者へ照会し、既払い額の有無、加害者請求の意思の有無を確認し、又被害者に賠償支払いをした場合は、加害者への通知をすることになっていいます。
・内払、仮渡金制度
内払は法的根拠はありませんが、実務上認められており、治療継続中であればどちらからも請求が可能です。傷害に限られ、金額は10万円単位で限度内なら何度でもできます。仮渡金制度は被害者の当座の出費に当てる目的(自賠法17条)で、死亡や一定の傷害の証明で可能です。
・平成14年改正により、自賠責保険支払基準が法定化されました。(以前と以後で適用が異なります)
● 損害試算額(左が改正前、右が改正後)
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■不服申立手続
平成14年改正により、保険会社は・後遺障害等級・認定理由等を記載した書面や、無責事故として支払わない理由を記載した書面の交付義務があります。(16条の6)
・有無責の判断
特定事案で、死亡無責や死亡重過失減額があるような場合には、審査会の専門部会の審査が行われます。その決定に不服の場合は異議申立の制度があります。
・後遺障害の等級認定
後遺障害の専門部会があり、そこでの等級認定に不服がある場合もやはり異議申立を行うことになります。
・政府の自動車損害賠償保障事業(自賠法72条以下)
自賠責保険がない、加害者が不明(盗難車)などの場合、被害者を救済するための政策的な、最低限度の救済を与える趣旨で存在します。請求が出来るのは「被害者」で各保険会社へ請求書を提出(政府が委託)して行います。
ただし(73条)健康保険、労災保険、その他社会保障制度で支払を受けたときは、減額されます。共同不法行為の場合で、一方の車が無保険者であるが他方が自賠責が使える場合は適用がありません。
■任意保険
任意保険の概要にも触れておきます。
任意保険は自由化されて外国保険会社が参入できるようにもなって以降、様々な名称で販売され、内容も多種多様になりました。ご自分が加入している保険についてはよく確認しておく必要があります。
大きくは、以下の4種類に分けられる
@ SAP 自家用自動車総合保険
A PAP 自動車総合保険
B BAP 自動車保険
C ペーパードライバー保険
・任意保険の内容
(1) 対人賠償保険
補償限度額は無制限まで契約できます。保険期間内に何度事故を起こしても適用されます。(自動復元制度)
(2) 自損事故保険
自賠法3条による賠償責任を負う者がない場合(生命・傷害保険に類似)
@ 車の所有者自身が使用人もしくは家族の運転ミスで死傷した場合
A 運転者の単独過失でその運転者自身が死傷した場合
B 運転者に責任のない突発事故で搭乗者等が死傷した場合
本保険は、対人賠償保険に自動付帯されている。
(3) 無保険車傷害保険
加害者側に十分な任意保険がなく、その資力もない場合、それを肩代わりする保険です。SAP、PAPにセットされています。
(4) 対物賠償保険
1事故で数個の財物に被害を与えても、本保険の填補額は合計で当初の契約額を超えられません。
(5) 搭乗者傷害保険
SAP、PAPにセットされているほか対人賠償保険、対物賠償保険、車両保険のいずれか付帯してのみ契約が可能な保険です。(座席ベルト装着特別保険金があります)傷害保険の性質があり、自損事故保険とセットの場合、両方の保険金が支払われることが多いものです。
(6) 車両保険
@ 一般車両保険…一般的な(戦争、地震等除く)偶然の事故の損害を填補します。
A エコノミー車両保険…他人の自動車との接触・衝突で相手が確認された場合の損害を填補します。
B エコノミー車両保険+車両危険限定A…Aにプラスし火災、盗難、台風等の損害も填補します。
C 車両危険限定A特約付車両保険…接触、衝突を填補せず、火災、盗難等を填補する保険です。
・任意保険の主な特約
(1) 他者運転担保特約
契約者が、契約した車両以外の車を運転して事故を起こした場合も、自分の保険が使える特約 被保険者が個人の場合、配偶者、同居の親族が他の車を運転中に事故を起こした場合もOKです。(二輪車は不可、会社所有や業務用は除かれます。また、常時使用する車も除かれます。)この特約は、前記各保険に自動付帯されているものです。
(2) ファミリーバイク特約
契約車両以外に、原動機付自転車も契約車両と同じ任意保険が使えるようにした特約です。(対象は、被保険者、配偶者、同居の親族、別居の未婚の子に限定され、業務用で使用する場合は不可です)
(3) 不担保特約
21歳未満、26未満、家族限定等の特約をつけ保険料を安くする特約です。
・新しい補償・・・以下以外にも様々な種類が開発されています。
(1) 人身傷害補償…あらゆる事故(歩行中も含め)を填補
(2) 身の回り品担保特約
(3) 代車費用担保特約
(4) 事故付随費用担保特約
・免責規定
自賠責は悪意の免責等以外は格別の免責規定はありませんが、任意保険は各種の免責があるので注意が必要です。
●被保険者の故意による事故、戦争など不可抗力的な原因によるものは原則として免責となります。
●自損事故保険、無保険車傷害、搭乗者傷害、車両保険などは、さらに無免許、酒酔いも免責とされます。
●対人賠償責任は、配偶者、両親、子供及び業務中の同僚間事故は保険は支払われません。
・請求手続
加害者請求
加害者(被保険者)は、事故後60日以内に保険会社への通知義務があり、損害賠償額が確定した日から、60日以内に請求の手続を行う必要があります。
被害者請求
任意保険は、被害者が保険会社に対して直接請求権が認められています。(裁判手続:被害者は加害者とともに保険会社を被告として訴えを提起することが可能。)
●自賠責とはことなり、加害者請求と被害者請求が競合する場合は、被害者請求が優先します。
・内払、一括支払制度・・・任意保険会社のサービスの一環として加害者請求、被害者請求とも10万円単位の内払請求が可能です。損害額が確定した場合、自賠責保険から支払われる部分についても、任意保険がこれを一括して支払に応じることになっています。(自賠、任意が別保険会社でもかまいません。)
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