交通事故・損害賠償請求 自賠責保険請求、任意保険請求、賠償額算定 | ||||
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Q1.過失割合とは | Q2.被害者と加害者 | Q3.重過失減額 | Q4.物損の賠償は |
Q5.被害者請求 | Q6.加害者請求 | Q7.自賠責と労災 | Q8.自賠責の保険金額 |
Q9.健康保険と自由診療 | Q10.共同不法行為 | Q11.任意保険との関係 | Q12.内払金 |
Q13.仮払金 | Q14.積極損害と消極損害 | Q15.有無責の判定 | Q16.料率算出機構とは |
Q17.異議申立制度 | Q18.傷害の損害賠償 | Q19.休業損害 | Q20.実治療日数とは |
Q21.主婦の休業損害 | Q22.自営業者の休業損害 | Q23.無職の休業損害 | Q24.失業中の休業損害 |
Q25.慰謝料の計算は | Q26.治療を中断した時の慰謝料 | Q27.後遺障害の認定 | Q28.症状固定の意味 |
Q29.事前認定とは | Q30.因果関係とは | Q31.第三者行為災害 | Q32.ライプニッツ係数 |
Q33.賃金センサスとは | Q34.就労可能年数とは | Q35.平均余命は何に使う | Q36.逸失利益の計算 |
Q37.労働能力喪失率 | Q38.慰謝料(死亡)について | Q39.本人の生活費控除 | Q40.自賠責の時効 |
Q41.加重障害とは |
Q1 | 過失割合とはどういうことか、教えてください。 |
A1 | 2台の乗用車が衝突事故を起こした場合を考えて見ましょう。前方の赤信号に従い、信号が変わるまで静かに待っていて、後ろから来た車に追突された場合は、追突してきた車が100%悪いというのはお分かりでしょう。 交通事故は一般に100:0という事故は少なく、双方に過失があるのが普通です。交通事故は過去からの積み重ねでぼう大な事故が発生しています。裁判例も多くあります。それらに基づき、弁護士会や東京地裁などで、過失割合を判断する基準を本として出版しています。 具体的には、別冊判例タイムズの「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」東京地裁民事代7部(交通部)編、あるいは、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」東京三弁護士会交通事故処理委員会等編、別称「赤い本」と呼ばれるものなどに基づき判断しています。 |
Q2 | 私の方が相当悪くて事故を起こしたのですが、保険金を請求する場合は加害者請求となるのですか?それとも被害者請求でしょうか? |
A2 | 自賠責は過失が100%(赤信号で停止中の車に追突のような場合)でない限り、減額はされても保険金はでます。 そもそも自賠責には、一般的な意味での被害者、加害者という概念はありません。傷害を受けた人が、保険を請求する場合は被害者といいます。 それでは過失割合が五分五分、このような場合はどうなるでしょうか? 一般的な感覚では、どちらが加害者でどちらが被害者だ、とは言い切れません。 両者ともケガをした場合、ケガをした方を被害者、させた方を加害者といいます。過失が9割でほとんど全面的に悪かった、けれどもケガをしたようなケースもあります。過失が9割でも被害者となります。 過失9割のケースでは、ほとんど加害者なのだから「被害者請求」ではなく「加害者請求」でいいのだろう、とやると間違いなのです。 過失割合に関係なく、ケガをした方が被害者で、させた方が加害者と理解して下さい。 |
Q3 | 過失が大きくても自賠責の保険金がもらえると聞きましたが、減額はされるのですか? |
A3 | 7割未満の過失では、どのような場合でも減額はありません。障害の場合で、7割以上で20%の減額となります。 後遺障害が残る場合や死亡事故の場合は7割以上8割未満で30%の減額、9割以上100%未満で50%の減額と決められています。傷害の場合は7割以上で一律2割の減額になるだけです。この7割以上の過失で減額されることを「重過失減額」といいます。 もしも被害者と加害者の主張が食い違い、裁判上での争いになったようなケースでは、この過失割合は厳格に判断されます。過失割合に応じて損害賠償金額は減額されます。自賠責は訴訟にくらべて被害者に有利な取り扱いになっていることが最大のポイントです。 |
Q4 | ケガはしなかったのですが、メガネが壊れました。車の修理代と一緒にメガネの代金も自賠責に請求できますか? |
A4 | 残念ながら車両の損害は自賠責保険の対象ではありません。自賠法3条は人身傷害のみを対象としいます。 ケガはせずにメガネだけ壊れた、という場合も、人身傷害を対象とする自賠責の対象とはなりません。事故との因果関係を証明することが殆ど不可能だからです。 しかし、その物が身体に密着し、かつ身体の一部の機能を代行している場合には「人損」として同条の適用があります。例えば、義眼、義歯、義肢、眼鏡、コルセット、松葉杖等が該当します。 先にお話してあるとおり、ケガはしなかったので、人身事故扱いをせずに病院にもかかっていない、という場合には、上記の損害のみを単独で請求できるものではありません。あくまでも、人身傷害に附属して請求することになります。 賠償の対象となるのは、原則的に修理費用であり、修理可能(分損)な場合は、原則として、その部分の修理に要する費用が損害額となります。 |
Q5 | 被害者請求とはどのようなことをいうのですか? |
A5 | 自賠責は過失が100%(赤信号で停止中の車に追突のような場合)でない限り、減額はされても保険金はでます。そもそも自賠責には、一般的な意味での被害者、加害者という概念はありません。傷害を受けた人が、直接、自賠責保険を請求する場合のことを被害者請求といいます。 |
Q6 | 自賠責には加害者からでも、保険金の請求をできるのですか? |
A6 | 実は、自賠責への保険金請求で多いのは、加害者請求なのです。実質的に請求事務を行なっているのは損害保険会社なのですが、任意一括事案で、保険会社が被害者に保険金を支払った後、示談書を付けて自賠責へ請求し回収しています。 自賠責保険には、それぞれ(傷害、後遺障害、死亡)のケースごとに支払の限度額がありますが、それを超える部分は、損害保険会社が負担する仕組になっています。 |
Q7 | 仕事中の事故は労災と聞いていますが、自賠責にも請求ができるのでようか? |
A7 | 残念ながら、両方から治療費をもらうことはできません。仕事中のj事故は(通勤を含みます)労災で治療します。労災は、休業中給与の6割を補償してくれます。治療費も全額労災で支払います。慰謝料などは労災にはありませんので、自賠責へ請求することになります。 しかし、労災は支払った分を後で加害者に請求します。(第三者行為届けを出す。)加害者が任意保険に入っている場合は問題はないのですが、自賠責保険だけだと労災から先に自賠責へ請求されると、自賠責の限度があるので、空になる場合もありますので、早めに請求することが大切です。 |
Q8 | 自賠責の保険金額には限度があると聞いていますが、限度を超えた分はもらえないのでしょうか? |
A8 | 傷害が限度額120万円、後遺障害は介護が必要な場合とそうでない場合に分かれています。死亡は3000万円の限度額です。 加害者が任意保険に入っている場合は、限度を気にする必要はありませんが、自賠責のみの場合は、限度額に十分注意して、くれぐれも自由診療にはしないで、健康保険で治療するなど、できるだけ限度内で賠償をきっちり獲得しなければなりません。 詳しくは、一覧表をご確認ください。 |
Q9 | 交通事故の場合は、よく健康保険は使えないと聞きますが本当でしょうか? |
A9 | 健康保険が使えない病院は本来ありません。病院によっては、使えないということがあるかも知れませんが、それは自由診療のほうが経営的に助かるからです。 治療費の点単価は健康保険でかかる場合=@10円に対して交通事故の場合は約倍の=@20円で請求がなされることがおおくあります。 加害者が任意保険に入っていなくて自賠責のみの場合は、できるだけ治療費を抑えないと、その他の慰謝料や休業損害まで手が回らなくなりますので必ず健保を使うべきです。 病院と保険会社の間で、自由診療と健康保険の適用について協定ができているところもあります。 任意保険で病院に係る場合は問題はないのですが、加害者の保険が自賠責だけのような場合は、健康保険を必ず使用しないと満足な賠償が得られませんので気をつけて下さい。 健保を使用する場合は、保険者(健康保険組合、国民健康保険=市町村、各種共済組合等)に対して「第三者行為届け」を提出しなければなりません。(詳しくはNo31へ) |
Q10 | 私は友人の車に同乗していて事故にあい、ケガをしてしまいました。相手方の車にしか、賠償請求はできないのでしょうか? |
A10 | 過失割合が全くない車に対しては、請求できませんが、もしも友人の方も、事故の相手方も共に過失がある、という場合は、あなたは両方の車の自賠責に対して請求することができ、支払を受けることができます。 友人の車には全く過失がない場合は、友人の車には請求できませんのでご注意ください。 |
Q11 | 車検の時に、お金を払って自賠責保険に入っているので、任意保険は必要ないと考えています。何か問題があるでしょうか? |
A11 | 自賠責の賠償額の限度は、一事故一名につき、死亡3,000万円、重度後遺障害4,000万円、ケガ120万円と決められています。 現在、死亡事故では賠償額が2億円を超えることもありますので、自賠責だけでは賄いつきません。それに上積みしてかけるのが任意保険です。自賠責だけで車に乗っていては、いざ大きな事故を起こし賠償責任が発生した場合は、それで人生が終わります。 自賠責にしか入っていない車ほど事故を起こす確率も高いのです。自賠責の補償の限度をよく確認して、勘違いをしないようにして下さい。原付自転車でよくあるのは、うっかり更新の手続を忘れて、自賠責すら入っていないということもありますので気をつけてください。 |
Q12 | 事故にあい、仕事を休んで病院へ通っていますが、お金がありません。なにかいい方法はないでしょうか? |
A12 | 内払は法的根拠はありませんが、実務上認められている制度です。治療継続中であればどちらからも請求が可能です。内払請求は法律的に根拠がありませんが、自動車保険料率算定機構の内規で決められています。 内払請求は何度でもできますが、金額は10万円単位と決められています。死亡や後遺障害がからむ場合は使用できません。 また、既に仮渡金を受領している場合は、損害額が仮渡金の額を超えないと支払はなされません。例えば仮渡金をすでに10万円もらっている場合は、損害額が20万円を超えないと請求できないことになります。 内払請求の仕方は、最初の請求では交通事故証明書や印鑑証明書が必要になります。 2回目からはそれらは省略して、診断書や診療報酬明細書(レセプト)そして休業損害証明書を添付して自賠責の取り扱い保険会社へ請求します。被害者からも加害者からも、どちらから請求してもかまいません。 そうすると、損害額が計算されて、被害者請求であれば加害者に、加害者請求であれば被害者に受取額や立て替え金の有無が照会され、問題がなければ支払がなされます。書類の提出から約1ヶ月前後かかります。 過失割合やケガの程度によって、できるだけ早い内払請求が有利にないます。限度120万円の争奪戦となり早い者勝ちとなる可能性があります。自賠責は国土交通省、健康保険は厚生労働省で管轄が違い法律間の整合性は取れていないための現象もあります。 |
Q13 | 仮渡金というので、お金を先にもらえると聞きましたが、具体的な内容を教えてください。 |
A13 | 仮渡金制度は被害者の当座の出費に当てる目的(自賠法17条)で、死亡や一定の傷害の証明で可能です。内払金に対して仮渡金には決まりがあります。自賠法17条に規定されています。趣旨は事故による被害者の当座の出費に当てるために、一定の金額を速やかに支払うことが目的です。内払と違い加害者からの請求はできません。被害者のみです。 《仮渡金の金額》1.死亡の場合 290万円 2.傷害(14日以上の入院で且30日以上の治療要すもの) 40万円 3.傷害(14日以上の入院を要するもの) 20万円 4.傷害(11日以上の治療を要するもの) 5万円 請求できるのは1回のみです。これはあくまでも仮に渡すものですから、後で精算が入ります。最終額が仮渡金を下回る場合は返却しなければなりません。 制度の趣旨からも請求の後、1週間程度のスピードで支払われます。病院に仮渡用の診断書を書いてもらい請求書とともに保険会社に提出すればOKです。 |
Q14 | 損害には、積極的なものと消極的なものがあるのでしょうか?何のことだかよく理解できません。 |
A14 | 積極というのは、治療費のように実際に病院などに支払ったお金です。請求書がきて支払うものと考えてください。それに対して、消極損害は誰からも請求書が来るわけではありません。被害者が、事故がなければこれこれの収入があったはず、あるいは精神的な被害はこれだけだと計算して、請求するものです。 |
Q15 | 有無責の判定では、と言われましたが、有無責とは何をいうのか分かりません。教えてください。 |
A15 | 自賠責は、本来的には被害者の救済を目的にしていますが、過失割合(これを有無責といいます)の判断で、完全に100%悪い、となっては保険が出ません。あるいは程度により減額されてしまいます。 70%未満の過失であれば問題はないのですが、それ以上の場合は減額されてしまいます。 |
Q16 | 「保険料率算出機構」は、何をしているところなのですか? |
A16 | 「損害保険料率算出機構」は、前身の損害保険料率算定会と自動車保険料率算定会が統合し、平成14年に現在の団体になっています。業務は、参考純率と基準料率の算出・提供および自賠責保険の損害調査です。 この団体は、「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づき、損害保険業の健全な発達と保険契約者等の利益の確保を目的として当機構が設立され、会員である保険会社等から大量のデータを収集し、精度の高い統計に基づく適正な参考純率と基準料率を算出することになっています。 交通事故被害者救済の観点から、強制保険である自賠責保険について、公正で迅速な保険金の支払いを行なうために、損害調査業務について、「公正、迅速、親切」の立場から業務を行う団体です。 |
Q17 | 自賠責保険に請求して、一度決定が下されたら、文句は言えず従うしかないのでしょうか? |
A17 | 異議申立の制度があります。決定に不満や疑義がある場合は利用できます。 過失割合(有無責の判断)で、完全に100%悪い、となっては保険が出ません。あるいは程度により減額されてしまいます。 このようなケースを特定事案といいますが、死亡無責や死亡重過失減額があるような場合には、審査会の専門部会の審査が行われます。その決定に不服の場合は異議申立の制度があります。 後遺障害の等級認定においても、後遺障害の専門部会があり、そこでの等級認定に不服がある場合もやはり異議申立を行うことになります。 |
Q18 | 「傷害(ケガ)」の場合の、損害賠償の内容について教えてください。 |
A18 | ケガの場合の限度額は120万円です。その範囲内で賠償額がでます。治療費をはじめ書雑費や交通費、休業損害などがもらえます。 具体的な内容は、「ケガの損害賠償」として詳しくHPに記載してありますので、ご覧下さい。特にご注意していただきたいのは傷害慰謝料についてです。これについても、具体的な計算例を示していますので、参考にしてください。 |
Q19 | 「休業損害」の計算の仕方が良く分かりません。教えてください。 |
A19 | ケガをして仕事を休み、仕事につけない期間を休業期間と言い、その分減収した収入を「休業損害」といい、休業補償の対象となります。 会社から「休業損害証明書」、賞与の減額もあれば「賞与減額証明書」も出してもらい提出します。 【サラリーマンの場合の証明の取り方】 事故前3ヶ月間の基本給+付加給の合計を90で割り日額を出します。この金額が5700円を下回る場合は、5700円で認定されます。(上限は19000円です) 証明としては、先の「休業損害証明書」に前年度の源泉徴収票も添付しなければなりません。 有給休暇の取扱ですが、治療で仕事を休むために、有給休暇を使った場合でもその日を休業損害として認められます。(会社が有給休暇を買い上げる、という考えです。) 骨折等でギブス固定があった場合は、体の部位により実治療日数として認められることがあります。 以上を算式で表現しますと 休業損害額=(入院日数+通院日数+ギブス固定期間)×一日当り賃金 |
Q20 | 治療のため、通院していますが、実治療日数が・・・・といわれその意味が分かりません。 |
A20 | 自賠責では、慰謝料は一日当り4200円と決められていますが、その慰謝料支払の対象となる日数は「実治療日数」を2倍した数と、「治療期間」の日数を比べて少ない日数が取られます。 「治療期間」というのは、ケガをして治療を開始した日から治癒(医師の判断)までの期間をいいます。「実治療期間」とは、入院したり、通院したりして実際に治療を行なった期間のことです。 例外的な取り決めとして、整骨院に通った場合などは、2倍しないこと、長菅骨及びそれに接続する三大関節部分、脊骨、肋骨、胸骨にギブスをした場合は、その期間を実治療日数とします。 |
Q21 | 私は専業主婦のため働いていません。休業損害とやらの対象にはならないのでしょうか・ |
A21 | 専業主婦(又は主夫)でも、兼業主婦でも、家事従事者として休業損害が認められます。一日当り5700円として認められます。 一人で生活していて主婦ということはありませんので、証明の仕方としては、家族全員の掲載された住民票を提出することになります。 |
Q22 | 自営ですが、確定申告は実態とかなりかけ離れて申告(過小申告)しています。うまい手はないでしょうか? |
A22 | 会社員と異なり証明が困難なのが自営業者です。所得が高い場合は、前年度の所得証明(公的機関)をとり、確定申告書も提出して、それらを元に割り出すことになります。これを実額認定といいますが、定額5700円以下であれば、5700円として認定されます。 証明の仕方は、同業組合や協会の長から職業証明書を発行してもらう方法、NTTタウンページで証明するなどで認めてもらうことになります。 |
Q23 | 私は無職です。仕事をしなくても親の遺産で何とか食べてゆけます。でも、事故にあいケガをしました。仕事をしている人は休業損害をもらえて、私は何ももらえないのは不公平ではないでしょうか。 |
A23 | 残念ながら、何もしていなければ、何も失うものもありませんので休業損害の対象とはなりません。しかし、慰謝料その他の損害は他と同様にでますのでご安心ください。 |
Q24 | 会社が倒産して、失業中に事故にあいました。休業損害はでるのでしょうか? |
A24 | この場合も、現実に収入がなかったので減収分はなく休業損害は出ません。将来、就職するかも知れないと主張しても、将来のことは不確定要素のため認められないことになります。 自賠責では認められませんが、任意保険では、具体的に就職活動をしていたこと、新たな会社に就職できる可能性を証明することにより、認められると考えられますし、判例でも勤労意欲を前提として認められていますので、あきらめずに交渉してください。 |
Q25 | 慰謝料の計算の仕方を教えてください。 |
A25 | 慰謝料とは人的被害により生じた精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。物的被害は、財産的損害の填補を受けることで精神的損害も填補されるとの考えですので認められることはありません。例え、毎日磨き上げ、恋人以上に大切にしていた、としても慰謝料の対象にはしてくれません。 慰謝料は、死亡による慰謝料、・後遺障害による慰謝料、入、通院慰謝料に分けられます。 ここでは、傷害の慰謝料について説明します。慰謝料は日額4200円となっており定額です。所得が多くても関係ありません。 計算方法は、 (「実治療日数」×2倍) と (「治療期間」の日数) を比べて少ない【日数】×4200円 後遺障害 死亡 の場合は、それぞれのHPでご確認ください。 |
Q26 | 仕事が忙しいので、治療を途中で中断してしまいました。この場合の慰謝料はどうなりますか? |
A26 | 被害者の都合で、医師が治癒としない前に治療を打ち切った場合は、治療の「中止」となります。この場合の慰謝料の計算は、実際の治療期間に7日を加えたものをベースとします。 |
Q27 | 後遺障害にはどのような種類があるのですか。私がどこに該当するのか検討がつきません。 |
A27 | 後遺障害は実に細かく分類されています。自賠責では現在14級の等級に分かれ、138種類に分類されています。1級が一番重く、もっとも軽いのが14級です。また、1、2級の場合はさらに介護を必要とする場合を重度後遺障害として賠償額が高くなります。 具体的には、後遺障害等級表でご確認ください。 |
Q28 | まだ治療中なのですが、早く後遺障害を認定してもらいたい、と考えています。症状固定にすると後遺障害の認定手続ができると聞きました。症状固定とはなんのことですか? |
A28 | 症状固定とは、これ以上治療しても回復しない状態をいいます。人間には、自分自身でケガを治癒する能力が備わっています。しかし、完治しないものもあります。神経系統を痛めてしまい、体のある部分が麻痺してしまうこともあります。あるいは、体のある部分を失ってしまうこともあります。 後遺障害とは、ある期間治癒に専念しても完全に元に戻らない状態をいいます。それを症状が固定された状態といいます。後遺障害の認定のためには、一般には半年(6ヶ月)を経過しないと認められません。認めてもらうためには、後遺障害診断書をお医者さんに書いてもらわなければなりません。どのように書いてもらうか、一番重要なところともなります。 書き方一つで、認定されたり、されなかったりするからです。身体の一部の欠損は、その時点で症状固定となりますが、知的障害や機能障害、あるいはキズ(醜状痕)の場合は、医者の判断で決まり、自賠責ではほとんどが書類審査ですので、後遺障害診断書はできるだけ具体的に記入してもらうことが大切になります。 |
Q29 | 後遺障害の認定の話をしていて、損保の担当者が事前認定をします、といっていましたが、何のことでしょうか? |
A29 | 後遺障害の認定の仕方には二通りの方法があります。被害者が直接、被害者請求で後遺障害の認定を求める場合と、任意一括事案(加害者側の任意保険と自賠責とセットで対応してくれる場合のこと)で、加害者側が、被害者の後遺障害の認定を求めるケースがあります。 被害者が求める場合は、そのものずばり後遺障害の認定手続といいますが、後のケースのやり方を「事前認定」手続といいます。 いずれも、被害者が後遺障害に該当しないかどうか、自賠責に認定を求める手続のことです。 |
Q30 | 事故との因果関係がある、とか、ないとかの話を聞きましたが損害賠償と関係あるのでしょうか? |
A30 | 事故にあったときに、必ずしも正常な状態ではなかった、ということがあります。被害者がどのような状態で事故にあうかは、人それぞれですが、その傷害や後遺障害が事故だけの原因によるものなのか、以前から被害者が持病としてあるいは先天的に持っていた病気と合体して被害が酷くなるような場合があります。 損害賠償は、本来そのj事故によってもたらされた被害に対してのものですので、事故と因果関係がない被害は賠償の対象としません。 以上の意味で、事故との因果関係、という言葉が使われます。 |
Q31 | 「第三者行為災害」とは、どういうことですか? |
A31 | 事故によりケガをして病院で治療を受ける場合、健康保険や国民健康保険、国家公務員共済組合等を使用して治療を受けることができます。 仕事中であれば労災を使うこともあります。後遺障害で国民年金、厚生年金が絡む場合や介護保険が絡む場合もあります。 上記の治療や年金給付に際して、その原因を作り上げたのは、その事故の加害者ですので、例えば健保は、一旦治療をして通常のケガと同じように、被害者から自己負担の3割を徴収しますが、残りの7割は保険者は、後で加害者に請求することになるのです。 これらを法律的に表現すると、 「保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。 また、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。」 となります。 具体的にどこに提出するのか、ですが、国民健康保険の場合は、各市区町村へ、労災は管轄の労働基準監督署への提出となります。 提出しなければならない書類は、あらかじめ各保険者へ確認をとるようにしましょう。 |
Q32 | ライプニッツ係数とはなんのことですか? |
A32 | 中間利息控除のための係数をいいます。別名、ライプニッツ係数と呼ばれます。逸失利益としてまだ到来しない将来の分を、現時点で賠償額としてもらうのですから、利息分は控除します、ということです。 住宅ローンの逆だと考えてください。住宅ローンは今1千万円借りたら、金利によっては30年で倍の2000万円を返すことになりますね。それと逆に、将来に渡って金利を含め、2,000万円を今貰うのですから、1,000万円ということになるのです。金利はこの低金利の時代でも5%ということで計算され、最近、最高裁でも確定しました。 |
Q33 | 後遺障害の賠償で悩んでいますが、「賃金センサス」という言葉が理解できません。教えてください。 |
A33 | 「賃金センサス」とは、厚生労働省が発表する、賃金にかんする統計資料のことです。傷害(ケガ)の場合は、治癒を前提にしていますから、賃金センサスは関係ありませんが、後遺障害や死亡の場合は、逸失利益が問題となります。 逸失利益とは、事故による後遺障害や死亡ということがなければ、将来にわたりこのくらいは稼げたはずだ、というものです。 逸失利益の計算も、休業損害と同様に事故の1年前の実収入が基礎となるのですが、それを下回る場合は、細かな取り決めがあり、この「賃金センサス」が用いられます。具体的にはQ36をご確認ください。 |
Q34 | 就労可能年数というのは、どのように決めているのですか? |
A34 | 就労可能な年数は、そのはじめを18歳として、67歳までを働くことができる期間として、逸失利益の算定に用います。 Q32で、中間利息の控除(ライプニッツ係数)について説明していますが、自賠責の場合は、別表U−1(1)18歳未満の者に適用する表 と (2)18歳以上の者に適用する表 としてそこから該当するライプニッツ係数を拾い出して、計算します。 それでは、67歳以上の人はどうなるの、という疑問がでますが、100歳以上でも1年の就労可能年数があります。 具体的な数値はこちらからご確認ください。 → 「自動車損害賠償責任保険支払基準」 |
Q35 | 交通事故の損害賠償では「平均余命」が関係すると聞きましたが、どういうことでしょうか? |
A35 | 平均寿命については、男女それぞれで統計を出していますが、女性のほうは世界1位の寿命の高さを誇ります。これも厚生労働省の簡易生命表にでています。 平均余命の統計はやはり厚生労働省から出されますが、簡単には出てきません、各種の係数を用いて計算されます。例えば、0歳男児の平均余命は76年です。30歳男性は47年です。30+47=77年です。80歳の男性は7年です。87年ですから、年齢が高いほど合計の年数は高くなります。 自賠責で、平均余命が損害賠償に活かされることはまれですが、一般の高齢者の死亡事故では、平均余命の2分の1を、就労可能年数として損害賠償計算がされます。 |
Q36 | 後遺障害や死亡の場合の逸失利益の計算の仕方を教えてください。 |
A36 | 逸失利益の計算の仕方は、後遺障害と死亡の場合で異なります。 @死亡の場合 逸失利益=(収入額−本人の生活費)×就労可能年数に対するライプニッツ係数 収入額の認定に当り ・有職者:「事故前1年間の収入」 と 「年齢別平均給与額」(賃金センサス) のどちらか高いもの ・35歳未満の場合:「事故前1年間の収入」「年齢別平均給与額」「全年齢平均給与額」の高いもの (35歳以上の場合は、上記で「年齢別平均給与額」との比較で高い方となります。 ・その他の58歳未満の場合:「全年齢〜」で計算、58歳以上は「全〜」と「年齢〜」の高い方。 A後遺障害の場合 逸失利益=収入額×労働能力喪失率×就労可能年数に対するライプニッツ係数 収入額の認定の基準は、死亡の場合と同一です。労働能力の喪失率については次を参照下さい。 |
Q37 | 後遺障害12級の認定を受けました。賠償額の算定で労働能力喪失率のことを言ってきたのですが、意味が分かりません。教えてください。 |
A37 | 後遺障害は一番重い1級から14級までに区分されています。後遺障害を負うと、事故前と同じようには働けません。働けなくなる分を、率で表したのが労働能力喪失率といいます。 前のQ36の計算式で、収入額に労働能力喪失率を掛けていますが、その分収入が減額されるという考え方です。 自賠責では、第1級から3級までが100%の喪失率となります。要するに、全く働けなくなった、と見るわけです。一番軽い第14級で5%となります。 |
Q38 | 死亡の場合の、慰謝料について教えてください。 |
A38 | 死亡の場合の保険金の額は、自賠責の場合その限度は3000万円です。その中には、葬儀費、慰謝料、逸失利益からなっているのですが、 慰謝料は、本人分350万円、遺族の慰謝料として、1名(550万円)、2名(650万円)、3名以上(750万円)、被害者に被扶養者がいた場合は200万円を加算することで計算されます。 |
Q39 | 死亡の場合の逸失利益の計算の中で、もう生きていないのに本人の生活費として差引かれています。どういうことでしょうか? |
A39 | これは、死亡したからこそ控除されるものなのです。死亡すると、本人にかかる生活費というのはかからなくなります。逸失利益の計算は、これから先も、働いたことを仮定して計算します。でも、もう存在しない訳ですから生活費はかからないと考えるのです。 自賠責では、被扶養者がいる場合は、収入の35%が控除されます。一人だけの場合は、50%控除されて計算されます。 |
Q40 | 事故が起きてからかなりの時間が経過しました。自賠責保険に請求する場合、時効はありますか? |
A40 | 法律関係の安定を図るために時効制度がありますが、民法は167条で債権の消滅時効を10年と定めています。しかし、自賠責保険の時効は僅か2年なので注意が必要です。 ・被害者請求の時効: 加害者に賠償責任が発生してから、2年です。時効の起算点は、ケガの場合で事故のあった翌日からとなります。 ・後遺障害の場合: 症状固定日の翌日が起算点となります。 ・死亡: 死亡日の翌日が起算点。 交通事故の解決は、長い年月がかかるものです。『時効中断申請書』を期限が到来する前に提出すれば問題はありません。 ・加害者請求の時効: 被害者に支払った日の翌日から2年です。 |
Q41 | 3年前の事故で14級の後遺障害の認定を受け、今回も同程度の後遺障害を残しましたが、『加重障害』には該当しません、と言われました。どういうことですか? |
A41 | 既に後遺障害のあった人が、自動車事故によって傷害を受け、同じ部位について後遺障害の程度が重くなったような場合を、自賠責では『加重障害』といいます。 自賠法施行令2条2項に規定されていますが、加重後の後遺障害に対応する保険金額から既存の後遺障害に対応する金額を控除して賠償額が算定される、という仕組みになっています。 例として、3年前に頚椎捻挫で14級9号の後遺障害を認定され、この度、再び事故に遭い、治療を終了(症状固定)し、同じ部位で後遺障害の認定を受けた、と想定します。 この場合、次の3通りの結果がでたとします。 1.後遺障害は、非該当 この場合は、治癒したものとして、傷害の部分の損害が補填されるのみです。 2.後遺障害は、前回の事故で受けた14級9号のケース 前回と同様のため、加重障害とはならず、14級9号と認定はされても、後遺障害としての賠償は得られません。既に賠償が終わっている、と判断されます。 (判例では、おおよそ10年程度前の事故の場合は、消失しているものとして、新たな後遺障害として扱われていますが、、) 3.後遺障害は、12級13号として認定されたケース この場合を『加重障害』といいます。賠償額の計算は、 [12級に応じた賠償額]−[14級で既に払われた賠償額]=加重障害による賠償額 として、支払われるという扱いになっています。 |
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