北海道の指定管理者制度について

北海道新聞(夕刊)平成17年8月29日(月)

■道施設の民間委託 来年度から可能に

■60億円市場 企業が攻勢

■道内外から照会続々  既存団体 防御に懸命

 道が来年度から実施する「指定管理者制度」に民間企業が熱い視線を送っている。制度は、道が出資などを通じて関係が深い関与団体に委託している公共施設の運営・管理業務を、民間企業も受託できるようにする。委託料は対象33施設合計で約60億円。大きなビジネスチャンスとみて企業が続々と参入の構えを見せるなか、仕事を維持したい関与団体側はコスト削減を急ぐなど対抗策に懸命だ。

 道や関連団体によると、これまで業務内容やコスト、人員などについて照会してきた企業は、道内外の10社以上。登別・伊達時代村などのテーマパークを運営していた大新東(東京)もその一つだ。

 同社はバブル経済崩壊後、業務を自治体業務受託などに特化した。昨年10月からは網走管内湧別町の宿泊施設で指定管理者となり、管理運営を行なう。同社は「 自治体の財政難から、今後民間開放は進む」とみて、新制度への対応も検討する。

 NTT グループのテルウェル東日本北海道支店も積極的だ。前身は旧電電公社の電気通信共済会。病院や体育館などのNTTグループ施設を対象に、管理や清掃、警備、食堂運営など関連会社と手がける。

 同支店の伊庭野営業担当課長は「われわれの参入でコストが削減できれば道民に貢献できる」 と話す。

 各社とも、どの業務に狙いを定めているかは「企業秘密」で答えない。ただ、三菱総研地域経営研究の試算では、制度導入で生まれる市場は全国で2兆円規模。小野由理主任研究員は「もうけは大きくないがリスクが少ない」と企業側の参入意欲を説明する。

 これに対し、関与団体側は戦々恐々だ。関与団体は道が出資したり、職員を派遣している団体で従来は競争にさらされない事実上の独占状態だった。これが、新制度によって民間企業のライバルが登場する。企業が応札した場合、団体側も運営計画を提出して競わなければならず、受託できなければ仕事を失い、解散もあり得る。

 札幌で真駒内公園や月寒グリーンドームなどを運営する道体育文化協会は、職員自ら草刈やスケート場の製氷作業を行なって大幅なコスト削減を急ぎ、価格競争に備える。地域密着のイベント開催で施設利用率向上にも懸命だ。
 
 同協会の梶原和朗総務部長は「大手企業が赤字覚悟で参入すれば太刀打ちできない。われわれの安心、安全性重視の管理手法も評価してほしい」と訴えている。


指定管理者制度

 2003年の地方自治法改正で導入された。自治体や関与団体に限られていた公共施設の管理・運営業務を民間企業も受託可能とすることで、競争原理が働き、経費削減やサービス向上が期待される。

 道は9月の定例道議会に関連の条例の改正案を提案する。参入希望企業があれば関与団体との競争入札で委託先を決める。委託期間は4年間。道は制度導入で2割の委託料削減を見込む。対象は道民活動センター(かでる2・7)や北海道開拓の村、総合体育センター(きたえーる)など33施設。


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