定款の変更

 有限会社法、商法が廃止され新たに会社法の施行に伴って、どのような会社でも必ず定款を変更しなければならない、というものではありません。

 しかし小規模な零細企業にとっては、会社の運営を低コストに行うことが可能となりました。

     ■小規模の零細企業は、取締役会や監査役、会計参与を置かずに株主
       総会だけで意思決定ができる。→【定款変更】が必要

     ■取締役の任期は、現在の2年から10年以内まで延長可能


 「整備法」(正式名称:会社法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律)によって、何もしなければ勝手に『定款に定めがあるものとみなす』 と定められていますので、良くも悪しくも規定通りに
みなされてしまいます。

★みなし規定を排除して、低コストの運営を心がけるならば、名前ばかりの取締役、
  監査役を排除して(変更登記要す)、定款の変更が必要となります。

 定款は会社の根本的なルールを定める
 大切なものです。 

 今回の法改正では

  
【定款自治の拡大】 がなされ

  ますます定款の重要性が高まりました。


                      

  ■みなし規定■
       

BY法務省
  『会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱について』
                      

 しかし、注意しなければならないのは、勝手に
みなしてもらっては困ることもあります。
 
 例えば、これまでも株式会社であったが、実質的には取締役は代表者一人のような場合には整備法76条2項の「新株式会社の定款には、取締役会及び監査役を置く旨の定めがあるものとみなす。」 とありますが、このように
みなされては困ることになります。

 仕事柄、会社の設立に係わり多くの定款を作成し、また、許認可業務で数多くの定款を見てきましたが、中には最初に作成した原始定款のままだったり、株式会社で商業謄本と比較すると全く違った内容なのに、そのまま放置されているケースがありました。

 許認可の申請を行なう際には、当然登記された会社の内容と、定款に記載されてある内容の整合性を求められます。

                                        

 非公開会社においては、定款を必要とする場面は少ないかもしれません。しかし、いつかは必要となる場面が出てきます。今回の法改正を機会に会社のルールを再確認し、会社の実態に合わせた定款の変更をお勧めします。

【定款変更のポイント】

1.用語の変更(営業→事業etc)に合わせて、定款の記載を変更する。

2.公告方法
  登記事項であるが、公告方法を変更しない場合には、みなし規定により手続は不要
  である。絶対的記載事項ではなくなったため、定款上に定めをしない場合は、官報に
  掲載して行なうこととなる。
  従って、従来どおりの記載で問題はない。(939条)

3.発行可能株式総数
  これまで、将来発行する株式の総数は、実際の株数の4倍までとなっていましたが、
  非公開会社では、その制約がなくなり、発行済株式総数とは無関係に発行可能株
  式数を決定できるようになりました。(法113条3項)

4.株券の発行
  非公開会社では、株券を発行している会社が殆どなかったのが実態でした。
  会社法では、株券の不発行を原則とし、株券を発行する場合はその旨を定款
  に定めることとされました。(法214条)

  
整備法76条4項により、会社法施行時点で株券不発行制度を採用していない
  株式会社は、株式にかかる株券を発行する旨の定款の定めがあるものとみなさ
  れます。


5.株式の譲渡制限
  非公開会社の殆どが、株式の譲渡制限を設けているが、これまでは譲渡の承認
  を受ける機関は、取締役会になっていた。

  今後は、株式譲渡の承認機関を、定款の定めにより取締役会以外の機関とする
  ことができるようになりました。(法139条1項)

  
取締役会を置かない会社は、当然取締役会とはできませんので、株主総会や代表
  取締役と定めて定款に記載する必要があります。


6.相続人等に対する売渡しの請求
  株主に相続が発生した場合に、その会社が被相続人が有していた株式を会社に
  売渡すことを請求できる、というものです。

  そもそも譲渡制限は、会社にとって不都合な人が株主にならないように設けられて
  いるものであるので、会社法では相続人に売渡しを請求できることを定款に定めるこ
  とを可能とした。(法174条)

7.株式に関する事項
  用語の変更や微修正が必要な事項があります。

8.株主総会
  株式譲渡制限会社は、株主総会の招集通知は、1週間前までに通知を発送すれば
  よく、定款で規定する必要もなくなりました。

  同時に、開催地規定もなくなりましたので削除してもよいこととされました。
  
9.取締役会の設置
  取締役会は任意の設置機関となりましたが、みなし規定により、現行の株式会社は
  取締役会を設置するものとされます。

10.取締役・監査役の員数
  取締役は1名以上でよいが、取締役会設置会社では、現行商法と同様に最低数
  は3名となる。

  監査役は1名以上必要であったが、非公開会社では置かない事もできる。

11.取締役の資格
  非公開会社では、取締役を株主に限定することもできることとなった。

12.取締役・監査役の任期
  非公開会社では、取締役・監査役の任期は定款で定めることで10年まで伸ばす
  ことができることになった。

  「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会
  の終結の時まで」 とすることになります。

13.会計参与等の設置
  新たな機関として、設置する場合には定款で定めることとなります。



                                


【整備法】 “みなし”規定


( 旧大会社等の定款に関する経過措置 )

第五十二条 旧株式会社がこの法律の施行の際現に旧商法特例法第一条の二第一項に規定する大会社 (以下「旧大会社」という。)若しくは同条第三項第二号に規定するみなし大会社(以下「旧みなし大会社」という。)であって旧委員会等設置会社 ( 同項に規定する委員会等設置会社をいう。以下この節において同じ。) でない場合又は第六十六条第一項後段に規定する株式会社が旧商法特例法の適用があるとするならば旧大会社若しくは旧みなし大会社に該当し旧委員会等設置会社でない場合における新株式会社の定款には、監査役会及び会計監査人を置く旨の定めがあるものとみなす。

( 監査役の権限の範囲に関する経過措置 )

第五十三条 旧株式会社がこの法律の施行の際現に旧商法特例法第一条の二第二項に規定する小会社 ( 以下「旧小会社」という。 ) である場合又は第六十六条第一項後段に規定する株式会社が旧商法特例法の適用があるとするならば旧小会社に該当する場合における新株式会社の定款には、会社法第三百八十九条第一項の規定による定めがあるものとみなす。

( 委員会等設置会社に関する経過措置 )

第五十七条 旧株式会社がこの法律の施行の際現に旧委員会等設置会社である場合文は第六十六条第一項後段に規定する株式会社が旧委員会等設置会社である場合における新株式会社の定款には、取締役会、委員会及び会計監査人を置く旨、会社法第四百五十九条第一項第二号から第四号までに掲げる事項を取締役会が定めることができる旨並びに当該事項を株主総会の決議によっては定めない旨の定めがあるものとみなす。

(
株式会社の定款の記載等に関する経過措置 )

第七十六条 旧株式会社及び第六十六条第一項後段に規定する株式会社の定款における旧商法第百六十六条第一項各号 ( 第六号を除く。 ) 及び第百六十八条第一項各号に掲げる事項の記載又は記録は、これに相当する新株式会社の定款における会社法第二十七条各号 ( 第四号を除く。 ) 及び第二十八条各号に掲げる事項並びに同法第二十九条に規定する事項の記載又は記録とみなす。

2 新株式会社 ( 委員会設置会社を除く。 ) の定款には、
取締役会及び監査役を置く旨の定めがあるものとみなす。

3 旧株式会社若しくは第六十六条第一項後設に規定する株式会社の定款に旧商法第二百四条第一項ただし書の規定による定めがある場合又は施行日以後に第百四条の規定により従前の例により旧商法第三百四十八条の規定による定款の変更をした場合における新株式会社の定款には、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該新株式会社の承認を要する旨の定め及び会社法第二百二条第三項第二号に規定する定めがあるものとみなす。

4 旧株式会社又は第六十六条第一項後段に規定する株式会社の定款に株券を発行しない旨の定めがない場合における新株式会社の定款には、その株式 ( 種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式 ) に係る
株券を発行する旨の定めがあるものとみなす。

( 名義書換代理人等に関する経過措置 )

第八十条 この法律の施行の際現に旧株式会社又は第六十六条第一項後段に規定する株式会社の定款に株式若しくは新株予約権についての名義書換代理人又は社債についての名義書換代理人を置く旨の定めがある場合における新株式会社の定款には、株主名簿管理人又は社債原簿管理人を置く旨の定めがあるものとみなす。

2 旧株式会社がこの法律の施行の際現に置いている株式又は新株予約権についての名義書換代理人は、施行日以後は、新株式会社が委託した株主名簿管理人とみなす。この場合において、旧株式会社がこの法律の施行の際現に株式及び新株予約権について異なる名義書換代理人を置いている場合には、いずれか一方がその地位を失うまでは、それぞれが株主名簿管理人として、新株式会社の株主名簿及び新株予約権原簿に関する事務を行うものとする。

3 旧株式会社がこの法律の施行の際現に置いている社債についての名義書換代理人は、施行日以後は、新株式会社が委託した社債原簿管理人とみなす。


           
                  



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