登記Q&A と 設立時の登記

 
以下は法務省のHPに掲載されている『登記Q&A』です。

会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A


 会社法の施行日は,政令で定めることとされていますが,現在はまだ定められていません。施行日については定められ次第,法務省ホームページ等でお知らせいたします。

(注) 会社法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成17年法律第87号)は,文中では整備法といいます。なお,整備法は会社法の施行日に施行されます。


(目次) Q1 会社法が施行されると,登記の申請が必要となるのですか。
Q2 会社法が施行されると,有限会社はどうなるのですか。
Q3 会社法施行後,有限会社を株式会社にする手続について教えてください。
Q4 共同代表の登記はどうなるのですか。
Q5 支店所在地における登記はどうなるのですか。
Q6 支配人の登記はどうなるのですか。
Q7 会社法の施行後は,支配人に関する登記事項証明書はどこで入手することができるのですか。
Q8 役員の任期はどうなるのですか。
Q9 会社を設立する際,類似商号の調査をする必要はないのですか。
Q10 確認会社を設立したのですが,会社法が施行されても,増資しなければならないのですか。
Q11 株式会社について,会社法の施行に伴い登記申請が必要となる場合とはどのような場合ですか。
Q12 有限会社について,会社法の施行に伴い登記申請が必要となる場合とはどのような場合ですか。


Q1  会社法が施行されると,登記の申請が必要となるのですか。

 A  大多数の会社については,会社法及び整備法の施行に伴って新たに登記の申請をしていただく必要はありません(整備法第42条・第74条・第113条)。また,現在お持ちの印鑑カードや商業登記に基づく電子認証制度により発行された電子証明書も,引き続き使用することができます。
 ただし,会社法の施行日から6か月以内に登記を申請しなければならないケース(株式会社についてはQ11参照。有限会社についてはQ12参照)がありますので,該当する会社の方は十分注意してください。
 ※会社法の施行に伴い必要な登記の大部分は,登記官が職権で行います。


Q2  会社法が施行されると,有限会社はどうなるのですか。

 A  整備法の施行により,有限会社という会社類型はなくなり,施行日に現にある有限会社は,株式会社として存続することになります(この会社を「特例有限会社」といいます。整備法第2条・第3条)が,このために特段登記の申請をする必要はありません。ただし,会社法の施行日から6か月以内に登記を申請しなければならないケース(Q12参照)がありますので,該当する会社の方は十分注意してください。
 また,特例有限会社には,商号中に「有限会社」という文字を含まなければならないなどのいくつかの会社法の特則や必要な経過措置も定められています。
 なお,整備法の規定により,「有限会社の定款」,「社員」,「持分」及び「出資1口」は,それぞれ「株式会社の定款」,「株主」,「株式」及び「1株」とされ,有限会社の資本の総額を出資1口の金額で除した数が株式会社の発行可能株式総数及び発行済株式の総数となりますが(整備法第2条),必要な登記は,登記官が職権で行うこととしています(整備法第136条第16項)。
※発行可能株式総数及び発行済株式の総数の例
 施行日前  資本の総額(3百万円),出資1口の金額(1千円)
 施行日後  資本金の額(3百万円),発行可能株式総数(3千株),発行済株式の総数(3千株)


Q3  会社法施行後,有限会社を株式会社にする手続について教えてください。

 A  整備法の施行により,有限会社という会社類型はなくなり,施行日に現にある有限会社は,株式会社として存続することになります(この会社を「特例有限会社」といいます。)。特例有限会社には,商号中に「有限会社」という文字を含まなければならないなどのいくつかの会社法の特則が定められています。
 整備法の施行後,特例有限会社から通常の株式会社に移行するためには,商号の変更(○○有限会社→○○株式会社)についての定款の変更を株主総会において決議し,株式会社の設立の登記の申請と特例有限会社の解散の登記の申請を行う必要があります(整備法第45条・第46条)。


Q4  共同代表の登記はどうなるのですか。

 A  会社法及び整備法の施行により,共同代表(代理)制度は廃止され,登記事項ではなくなります。現在共同代表取締役,共同代表執行役,共同支配人として登記されている会社についても,会社法施行日以降は登記事項ではなくなります(整備法第42条第2項・第74条第1項・第113条第1項)。共同代表(代理)を廃止する登記は,登記官が職権で行うこととしています。

Q5  支店所在地における登記はどうなるのですか。

 A  会社法及び整備法の施行により,支店所在地の登記所には,索引的な登記事項である商号,本店及び支店所在地のみを登記することとされ(会社法第930条第2項),施行日に現にある支店の登記所の登記簿についても,登記事項は同様となります(整備法第42条第2項・第74条第1項・第113条第1項)。支店所在地の登記所に登記されている支店の登記事項を商号,本店及び支店所在地のみとする登記は,登記官が職権で行うこととしています。


Q6  支配人の登記はどうなるのですか。

 A  会社法及び整備法の施行により,支配人の登記はすべて本店の登記所の登記簿に記録することとされ(会社法第918条),施行日に現にある支配人の登記についても,本店の登記所の登記簿に移されることとなります(整備法第69条・第136条第7項)。また,当該支配人が印鑑を提出していた場合には,その印鑑に係る記録も同様に本店の登記簿に移されます。
 なお,現在発行されている印鑑カードや商業登記に基づく電子認証制度により発行された電子証明書は,引き続き使用することができます。


Q7  会社法の施行後は,支配人に関する登記事項証明書はどこで入手することができるのですか。
 A  会社法及び整備法の施行により,支配人の登記はすべて本店の登記所の登記簿に記録することとされ(会社法第918条),施行日に現にある支配人の登記についても,本店の登記所の登記簿に移されることとなります(整備法第69条・第136条第7項)。したがって,施行日後は,支配人を置いた支店の登記所でなく本店の登記所に対し当該支配人の登記事項証明書や印鑑証明書を請求することになります。
 なお,最寄りの登記所が商業・法人登記情報交換サービスを実施している場合には,会社法施行後も,現在と同様に,支配人に関する登記事項証明書は,当該登記所から請求することができます。また,郵便による請求をしていただくこともできます。 ※ 商業・法人登記情報交換サービス
コンピュータ化されている登記所間において,他の登記所管轄の会社等に係る登記事項証明書及び印鑑証明書の交付が受けられるものです。


Q8  役員の任期はどうなるのですか。

 A  会社法の施行により,取締役の任期は,原則として2年となりますが,株式の譲渡制限に関する定めを設けている株式会社については,定款で定めることにより最長10年まで伸ばすことができるようになります(会社法第332条第2項)。
 また,監査役の任期は,原則として4年となりますが,株式の譲渡制限に関する定めを設けている株式会社については,定款で定めることにより最長10年まで伸ばすことができるようになります(会社法第336条第2項)。


Q9  会社を設立する際,類似商号の調査をする必要はないのですか。

 A  会社法の施行日後も,整備法による改正後の商業登記法の規定により同一場所における同一商号の登記は禁止されるので(整備法による改正後の商業登記法第27条),同一本店所在地に同一の商号の会社があるかどうかを調査する必要はあります。なお,会社法施行日後も,引き続き,商号調査簿は登記所において無料で閲覧できるようにする予定です。


Q10 確認会社を設立したのですが,会社法が施行されても,増資しなければならないのですか。
 A  「確認会社」は,最低資本金規制の特例措置として資本の額が1円でも会社の設立が許容されていますが,設立の日から5年以内に1000万円(株式会社の場合。有限会社の場合には300万円)に増資する必要があり,その登記がされないと解散することを定款に定め,その旨を解散の事由として登記簿に記録することとされています。
 会社法では,最低資本金規制が廃止され,株式会社であっても資本金1円で設立することが可能になります。そして,確認会社についても,増資をする必要はなく,上記の定款の定めを取締役会等の決議で変更し,解散の事由の登記を抹消する登記申請をすることにより,会社を存続させることができることとなります(整備法第448条)。 ※ 「確認会社」とは,創業者が中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(平成11年法律第18号)に規定する創業者に該当することについて,経済産業大臣の確認を受け,確認の日から2か月を経過するまでに設立する株式会社又は有限会社です。


Q11 株式会社について,会社法の施行に伴い登記申請が必要となる場合とはどのような場合ですか。
 A  整備法の施行に伴い,以下の場合には登記申請が必要となります。 (1) 株式の買受け又は消却に関する定款の定め等がある株式会社は,施行日から6か月以内(これより前に他の登記を行う場合には当該他の登記と同時に)にア)発行する各種類の株式の内容の登記,イ)発行済株式の総数とその種類及び種類ごとの数の登記,ウ)当該株式が新株予約権の対象である場合は新株予約権の登記の変更の登記をしなければなりません(整備法第113条第5項)。
(2) 「商法特例法上の大会社」(委員会等設置会社を除く。)又は「みなし大会社」である株式会社の定款には,監査役会及び会計監査人を置く旨の定めがあるものとみなされるため(整備法第52条),定款変更は必要ありませんが,施行日から6か月以内(これより前に他の登記を行う場合には当該他の登記と同時に)に監査役会設置会社である旨,社外監査役についてその旨,会計監査人設置会社である旨及び会計監査人の氏名又は名称を登記しなければなりません(整備法第61条第3項)。

(3) 委員会等設置会社である株式会社の定款には,会計監査人を置く旨の定めがあるものとみなされるため(整備法第57条),定款変更は必要ありませんが,施行日から6か月以内(これより前に他の登記を行う場合には当該他の登記と同時に)に,会計監査人設置会社である旨及び会計監査人の氏名又は名称を登記しなければなりません(整備法第61条第3項)。
※ 「商法特例法上の大会社」とは,資本の額が5億円以上又は最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が200億円以上の株式会社です。

※ 「みなし大会社」とは,資本の額が1億円を超える株式会社で定款に監査等の特例の適用を受ける旨を定めた株式会社です。


Q12 有限会社について,会社法の施行に伴い登記申請が必要となる場合とはどのような場合ですか。
 A  整備法の施行に伴い,以下の場合には登記申請が必要となります。
 会社法施行前に,その定款に有限会社法第39条第1項ただし書(議決権の数又は議決権を行使することができる事項),第44条(利益の配当)又は第73条(残余財産の分配)の規定による別段の定めがある場合において,その定めが属人的なものでなく,持分に関するものであるときは,これらの定めは,それぞれ会社法第108条第1項第3号,第1号又は第2号に掲げる事項についての定めがある種類の株式とみなされるため(整備法第10条),定款変更は必要ありませんが,施行日から6か月以内(これより前に他の登記を行う場合には当該他の登記と同時に)にみなされた株式の種類,内容及び種類ごとの数を登記しなければなりません(整備法第42条第8項から第10項まで)。


           
     会社設立時の登記

 設立時に登記が必要であるということは、変更するときにも登記が必要である、ということです。会社法911条をそのまま掲載します。

 第二節会社の登記

第一款本店の所在地における登記

( 株式会社の設立の登記 )
第九百十一条  株式会社の設立の登記は、その本庄の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。

一 第四十六条第一項の規定による調査が終了した日 ( 設立しようとする株式会社が委員会設置会社である場合にあっては、設立時代表執行役が同条第三項の規定による通知を受けた日 )
二発起人が定めた日

2 前項の規定にかかわらず、第五十七条第一項の募集をする場合には、前項の登記は、次に掲げる日のいずれか遅い白から二週間以内にしなければならない。

一 創立総会の終結の日
二 第八十四条の種類創立総会の決議をしたときは、当該決議の日
三 第九十七条の創立総会の決議をしたときは、当該決議の日から二週間を経過した日
四 第百条第一項の種類創立総会の決議をしたときは、当該決議をしたときから二週間を経過した日
五 第百一条第一項の種類創立総会の決議をしたときは、当該決議の日

3 第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない

一  目的
二  商号
三  本店及び支店の所在場所
四  株式会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
五  資本金の額
六  発行可能株式総数
七  発行する株式の内容 ( 種類株式発行会社にあっては発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容
八  単元株式数についての定款の定めがあるときは、その単元株式数
九  発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数
十  株券発行会社であるときは、その旨
十一 株主名簿管理人を置いたときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
十二 新株予約権を発行したときは、次に掲げる事項
  イ 新株予約権の数
  ロ 第二百三十六条第一項第一号から第四号までに掲げる事項
  ハ ロに掲げる事項のほか、新株予約権の行使の条件を定めたときは、その条件
  ニ 第二百三十六条第一項第七号並びに第二百三十八条第一項第二号及び第三号に掲げる事項
十三  取締役の氏名
十四  代表取締役の氏名及び住所 ( 第二十二号に規定する場合を除く。 )
十五 取締役会設置会社であるときは、その旨
十六 会計参与設置会社であるときは、その旨並びに会計参与の氏名又は名称及び第三百七十八条第一項の場所
十七 監査役設置会社 ( 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。 ) であるときは、その旨及び監査役の氏名
十八 監査役会設置会社であるときは、その旨及び監査役のうち社外監査役であるものについて社外監査役である旨
十九 会計監査人設置会社であるときは、その旨及び名又は名称
二十 第三百四十六条第四項の規定により選任された一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは、その氏名文は名称
二十一 第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは、次に掲げる事項
  イ 第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがある旨
  ロ 特別取締役の氏名
  ハ 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
二十二 委員会設置会社であるときは、その旨及び次に掲げる事項
  イ 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
  ロ 各委員会の委員及び執行役の氏名
  ハ 代表執行役の氏名及び住所
二十三 第四百二十六条第一項の規定による取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人の責任の免除についての定款の定めがあるときは、その定め
二十四 第四百二十七条第一項の規定による社外取締役、会計参与、社外監査役又は会計監査人が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは、その定め
二十五 前号の定款の定めが社外取締役に関するものであるときは、取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
二十六 第二十四号の定款の定めが社外監査役に関するものであるときは、監査役のうち社外監査役であるものについて、社外監査役である旨
二十七 第440条第三項の規定による措置をとることとするときは、同条第一項に規定する貸借対照表の内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
二十八 第九百三十九条第一項の規定による公告方法についての定めがあるときは、その定め
二十九 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
  イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
  ロ 第九百三十九条第三項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
三十 第二十八号の定款の定めがないときは、第九百三十九条第四項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

※注意点

* ○○設置会社という登記が生じた ( 十五号、十六号、十七号ほか )
* 三項七号   株式譲渡制限の定めは独立の登記事項ではなくなった。
* 三項十号   株券不発行ではなく発行自体が登記事項になった。
* 三項十一号  名義書換代理人とはいわなくなった。
* 三項十一号  端株原簿名義書換代理人制度はなくなった。
* 三項十三号  取締役の住所は登記事項ではない。
* 三項二十五号  社外取締役の一部は登記する必要がなくなった。
* 三項二十六号  社外監査役の一部が登記事項になった。

                                      


           
                  



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