交通事故・損害賠償請求 自賠責保険請求、任意保険請求、賠償額算定 | ||||
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■死亡による逸失利益 |
死亡しても、死亡に至るまでに入院をして治療を受けていれば、積極損害として入院費や治療費が発生しますが、それは全く傷害の場合と一緒です。 死亡の場合は、後遺障害のような面倒な計算はありません。被害者がもし生きていたとした場合には、これから先幾つまで生きていて、働くことができたか、その収入はいかほどだったのか、に尽きます。 この人は、体が頑健だったのでこうだろう、弱かったから・・・とか、慎重な人だから長生きしたはずだ、とは考えません。一律、政府の発表する生命表などで判断されます。就労可能年数も一律に考えられます。 ★損害賠償の計算の仕方は 逸失利益=得べかりし利益 =(将来において得られるべき収入の総額)−(本人の生活費)−(中間利息) となります。 ・本人の生活費を控除するのは、収入を得るためには経費がかかるという考えで控除されます。 この控除率は、一人住まいの人、家族を養っている人などの条件により異なります。 ■裁判例による生活費の控除率 1.一家の主人 月収の 3〜4割 程度 2.独身者や男児 年間収入の 50%前後 3.女子(主婦を含む) 30〜40% ■中間利息の控除 中間利息の控除はこのように考えてください。例えば1000万円を10年で貯めると考えた場合、金利を考えなければ毎年100万円を貯めればよいのですが、金利が複利で5%と仮定した場合 現価係数 現在の額=将来の額(1000万円)×1/(1+0.05)の10乗=約614万円となります。 単純にいいますと、1000万円−614万円=386万円が中間利息ということになります。 本当は、将来もらうはずのお金を、今もらうのだからその分の利息を差引きますよ、という考えなのです。 (1)収入額の認定 ・給与所得者 雇用主の発行する給与証明と源泉徴収票、または「所得額証明書」によります。 昇給は給与規定等で明確な場合は昇給分が認定されますが、中小企業は過去の実績、統計等で判断されることがおおいようです。 若年で事故前の実収入が低額の場合は、基礎収入を全年齢平均賃金として計算します。 ・個人事業主 実際の収入と所得の申告とが食い違うことが多く、またその中には家族の協力分も含まれている場合があり、個人の寄与率の算定は困難を極める場合があります。賃金センサスによる場合もあります。 ・主婦の場合 専業主婦は全年齢平均賃金によります。有職主婦は実際の賃金(<全年齢平均賃金の場合は全年齢平均賃金を用いる)となります。 ・学生、幼児 生涯を通じて全年齢平均賃金または学歴別平均賃金程度の収入を得られる蓋然性があればそれらを基礎収入とします。判例は固定していません。 ・年金受給者 判例の多くが、遺族年金を除きその逸失利益性を認める判断をしています。年金が労働対価(給料)の後払いと考えた場合は、逸失利益を肯定(本人が拠出した年金)しますが、社会保障的給付(生活保護等)の場合は逸失利益を否定する傾向にあります。 ・外国人 日本の基準によったり母国の基準だったり、あるいはその折衷的なものがあり、いまだに確定的な判例はありません。不法滞在で就労中の事故の逸失利益の最判では退社から3年間は日本で受けていた実収入額で、その後 は母国で得ていた収入を基準としたものが認められました。 (2)就労可能年数 ・60歳以下の人は67歳として ・60歳以上の人は平均余命の2分のTで端数切り上げた年数で計算されます。 ・幼児、学生の就労開始年齢は高校を卒業の18歳となります。 ・大学生は大学卒業時を基準とします。 (3)収入額から控除すべき項目 ・生活費は死亡の場合不要と考え控除されます。収入を得るための経費との考えで収入の30〜50%の範囲で裁定され控除されます。 ・中間利息は法定利率の年五分(民法404条)として計算されます。ホフマン方式→単利計算、ライプニッツ→複利計算とがあります。これが一般的ですが必ずしも統一されていません。 ・税金は所得税法で損害賠償金には所得税は課さない旨規定されています。しかし、逸失利益は本来課税対象の所得の補償であるため判断が分かれていますが、現在、非控除説が有力となっています。 ■人が亡くなった時の手続■へ行く |
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