相続・遺言の手続と後見制度 | ||||||||||||||||||||||||
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法定相続分と相続人の資格 | ||||||||||||||||||||||||
民法の条文 以下の法律により全ての法定相続分が決定されます。
誰にでも相続人となる資格があるか 法律上は配偶者と子、親、兄弟姉妹が法定相続人となります。 ★配偶者と子供はいつでも相続人となります。 ★配偶者がいて、子供がいなければ、親に権利が移ります。 ★配偶者がいて、子も親もいない場合は、兄弟に権利が移ります。 ★配偶者がいない場合 ・子がいれば子へ ・子がいなくて親がいれば、親へ ・子も親もいない場合は、兄弟姉妹へ ★相続権者が既に死亡していた場合は、その子へ(代襲相続) しかし、無条件で相続人になれるのか、といえば決してそうではありません。 相続人となる資格を失う場合もあるのです。それと反対に、相続人の資格はあるけれども、敢えて相続人になりたくない、だからその資格を放棄する、という場合もあります。 相続というのは、被相続人に固有の一身上の身分などを除き、すべてを受け継ぐという制度です。例えば、酒やたばこの免許なども相続します。新たに免許を取得しなくても、そのまま相続することになります。 いいことばかりではありません。すべてを引き継ぐのですから、被相続人が連帯保証人になっていたとして、その身分も引き継ぎます。プラスの財産ばかりではないのです。借金まで引き継いでしまうのです。 そこで、民法は財産を放棄してもよいように規定されています。ある部分は相続してもよいがそれ以外はいやだ、という仕方もできます。 放棄は3ヶ月以内にすること、とかの規定がありのんびりしてはいられません。 それらについて順を追ってお話します。 相続資格をなくす場合 相続人が、相続が開始する前に相続する資格を失う場合としては、法律上当然に相続人ではなくななる「相続欠格」と、被相続人が“あいつにはやりたくない”と考えて行なう「廃除」 というのがあります。 【相続欠格】 相続欠格は民法891条に5つ規定されています。 第1: 故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡するに至らせ , または至らせ ようとしたために、刑に処せられた者 第2: 被相続人が 殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者 第3: 詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、またその取消・変更をすることを妨げた者 第4: 詐欺または強迫によって、相続人に相続に関する遺言をさせ、またその取消・変更をさせた者 第5: 相続に関する被相続 人の遺言を偽造・変造・破棄・隠匿した者 上記の内容をご覧になってお分かりですね。なんとか、相続を自分の有利にしようとして悪さをした人は排除される仕組みになっています。 相続人が自分に有利な遺言を捨ててしまったような場合はどうなるのか、判例では相続欠格者には当たらないとされているようですが、滅多にありそうなことではないですね。 |
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【排除】 「欠格」というのは、違反があったので退場せよ、といわれたのと同じですが、「排除」は少し意味が違います。「欠格」のように法律違反というほどではないけれど、被相続人に対して、虐待したとか、重大な侮辱をしたということを理由として排除することができます。 単に失礼な振る舞いがあった、あるいは一時的な感情のもとに怒鳴られた、というレベルでは認められません。 今、認められない、と言いましたが、自分勝手に排除する、ということはできません。家庭裁判所に請求して認めてもらわなければいけません。 遺言という方法を使えば、兄弟姉妹(遺留分ない)だったら排除の手続きをするまでもないのですが、配偶者、子、直系尊属(親)を完全に排除するためには必要ですね。遺言をもってしても遺留分がありますので、そういうことになります。 法律上も892条は、 「遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所 に請求することができる」 と規定していて遺留分を有する推定相続人に限っています。 遺留分を有しない兄弟姉妹については、相続させたくないと思えば全財産を他人に贈与してしまえば目的を達することができるからです。 廃除は遺言でもすることができます。遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をして行います。 いままでは、相続が開始する前の話しでした。では相続が開始した場合に、借金ばかりだからいらない、と拒否する場合の手続きがこれからの話です。 【相続の単純承認と放棄】 相続が開始すると、相続人は何もしない限り、相続財産を受け継ぎます。これを単純承認といいます。法律では放棄するのも3ヶ月という短い期限がありますので、ゆっくりしていられません。 (1)単純承認 借金があるし、放棄しようかどうしょうかと迷っている場合でも、次の行為があると単純承認したものとみなされるので注意が必要です。 ・法定単純承認(921条) 民法は3つの場合に単純承認がなされたものとみなすという規定があります。 @相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき。ただし保存行為や602条に定める短期の期間を超えない賃貸をすることはここでいう処分にはあたりません。 A相続人が熟慮期間(3ヶ月)内に限定承認も放棄もしなかったとき B相続人が、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、これを消費し、または悪意でこ れを財産自録中に記載しなかったとき。 相続が発生したのかどうか不明の場合に、それを知らずに@の処分をしても問題とはされません。 相続放棄は、その旨を家庭裁判所に申述することによってなす (938 条 )、とされています。 【相続放棄の効果】 「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初から相続人とならなかったものとみな」される (939 条 )。その結果、放棄した者を除く他の共同相続人が相続することになります。 放棄した者に関しては代襲相続も発生しなくなります。887 条2 項は、代襲相続の要件を被相続人の子が「相続開始以前」に相続権を失った場合に限定しており、相続開始後になされる放棄が含まれないためです。 放棄するということは、自分の相続関係者(子や孫)に遺産はいらないよ、という意思の表明なのですね。 相続放棄は撤回することができません。919 条l項は「承認及び放棄は、第915条第1項の期間内(3ヶ月)でも、これを取り消すことがでいない、と規定されています。 以前は、事実上の放棄をすることに理由がありました。相続税の計算の中で、放棄した相続人は相続税額の計算上相続人の数に算入されなかったため、正式の相続放棄をすると残りの相続人の 1 人当たりの相続分の金額が大きくなったのです。 その結果、累進税率のため、放棄がない場合に比べて支払う税額が大きくなったのです。しかし昭和33年の相続税法改正により、相続放棄があっても計算上はなかったものとして計算するようになったのです。 したがって、事実上の相続放棄が使われるのは、家庭裁判所の審判が不要で手続が簡単だということと、熟慮期間(3ヶ月)を過ぎても利用できるという理由が一番大きいのです。 相続税については、別にページがありますので参考にしてください。 |
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