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遺言内容について

 遺言の内容にも様々な形があります。本来、人間の意志は複雑なものです。ただ単に、現在ある財産を相続させるという内容だけではありません。

 財産を遺贈するのが第一の目的ではあっても、条件をつけたり、負担を負わせたりすることもできます。
 例えば、会社を経営していて、誰かにあとを継がせたいと考えた場合、工場とその土地は誰それに遺贈する(又は相続させる)といっておいて、ただし、工場を辞めたときはその効力を失う、と書くこともできるのです。

 遺言を書く場合は、いろいろなパターンを知っていると、本当のご自分の意思を後々に残すことが可能となります。このページではそれらのパターンを紹介しますので、参考にして下さい。

 特に、障害の子を持たれた親御さんにとって、自分がいなくなった後の子の行く末をとても心配するものです。当然のことながら、痛いほどそのお気持ちは分かります。そのようなときには、注意深く考えて遺言をする必要があります。

遺贈の種類

1.単純遺贈
 
 「○○を誰に遺贈する。」のように全く制限がつけられていない遺贈のことをいいます。
 一般的にはこれが圧倒的に多いのです。

2.条件付遺贈

 
(1)停止条件付遺贈

 これは条件が成就しなければ遺贈の効果がでないものです。例えば「結婚したときに、今住んでいる貸家を遺贈する。」というように、何らかの条件が達成されなければだめだよ、という内容です。
 停止条件というのは、卒業したらこれあげる、というような約束(条件)のことですね。法律的に難しく言うと停止条件というのです。
 
 遺言によって、その効果を遡らせることもできます。最初の例で、結婚したら貸家を遺贈すると言っておいて、遺言者の死亡の時にさかのぼって所有権を取得する、ということもできます。

 (2)解除条件付遺贈

 解除は停止条件の逆です。「○○の財産を誰に遺贈する。しかし、商店の経営をやめたときは、遺贈の効力を失う。」とするような方式です。

 遺言者としては、自分が長年やってきた店を続けてほしいから、誰かに財産を遺贈するのであって、店をやらないならば、やらないよ、という気持ちを確実に残せるのです。

3.期限付遺贈

 
(1)始期付遺贈

  始期付というのは、遺言者が死んだらすぐじゃないよ、というものです。
 「遺言者の死亡後○年経ったら、○を遺贈する。」というように、遺贈の時期を指定することです。この期限がくるまでは遺贈の効果はでません。

 
(2)終期付遺贈

 文字通り、終わりのある遺贈という意味です。例えば家賃などの収益を何年かは誰かにあげるような場合です。
 「遺言者の死亡後○年間だけ○を誰かに遺贈する。」とあれば、期限がくれば権利はなくなります。

4.負担付遺贈

 負担付というのは、ある財産を遺贈するけれども、その代わりに何かを負担してね、というものです。例えば、遺言者の妻がいるとして、生活費をきちんとやって頂戴ね、というようにやる場合です。

「遺贈者は、次の財産を甲に遺贈する。受遺者甲は、受益者(遺贈者の妻)乙にたいして同人が生存中、その生活費として月額○円ずつを支払うこと。」

 残された妻に、財産を遺贈しても先が短いので、甲に遺贈はするけれども、ちゃんと妻の面倒をみてね、という内容です。これは障害をもつ親にとっても使えるものです。

★財産の遺贈を受けたけれど、負担が重すぎた場合はこまりますね。1000円あげるから、1万円負担してね、ではだれも受ける人はいません。民法には以下の規定があります。
 
第1002条
 負担附遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責に任ずる。
2 受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者が、自ら受遺者となることができる。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。 

第1003条 負担附遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴によつて減少したときは、受遺者は、その減少の割合に応じてその負担した義務を免かれる。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。


遺言の内容については、もっと細かく分類すればありますが、今までのが基本です。以上を駆使するだけで、組み合わせることで遺言者にとっては、十分にご自分の意思を残せると考えます。
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